後遺症が残っている人とそうでない人の運動パフォーマンスを比較した9件の研究結果を分析した研究チームは、「運動が困難である」ことは、感染後に現れる、または回復後も長く残る後遺症の一つと考え得るとの見方を示している。
研究者らは、後遺症がある人たちが運動をつらいと感じる要因として、不規則な呼吸パターン、運動時に心拍数を増やす力が弱まること、筋肉が血液から取り入れた酸素を利用する能力が下がることなどを挙げている。
この研究結果をまとめた論文の著者の一人、カリフォルニア大学サンフランシスコ校医学部のマシュー・ダーステンフェルド教授は、「後遺症がある40歳の女性の運動能力は、感染していない50歳の女性とほぼ同じ程度に低下していると考えられる」と説明している。
これは、言い換えればダブルスでテニスをしていた人がストレッチ運動に、またはプールを何往復も泳いでいた人が低負荷のエアロビクスに切り替えることになったり、ゴルフのラウンドにカートが必要になったりするような変化だという。ただ、教授は同時に、運動能力には個人差があり、低下の程度も、人によって異なる点を強調している。
研究チームによると、この研究は過去の複数の研究結果を分析したものであり、対象とした感染者数は多数にのぼった一方、ほとんどの研究はサンプルサイズが小さく、結果に偏りがある可能性があることから、いずれもエビデンスとしての質は低いという。
また、今回の研究によって、後遺症がある人の運動耐性がどの程度低下するのか、どの程度の割合でこうした変化が起きるのかを推定することはできない。ただ、そうした変化の傾向自体は、すべての感染者にみられたものだ。