煩雑な事務書類から解放されて三方よしに
それでは、着々と推進してきたDX化で、何が効率化されたのか? また、その目的とは何だろうか?
「人によってインセンティブが異なりますが。例えば、患者の入院時から自宅に帰るまでの課程では、『病院』と『リハビリ病院』と『介護施設』が存在するのですが、それぞれに患者の情報共有が出来ていなかった。ところが、クラウドを使う事で、三者の情報共有が可能になります」
また、請求書・領収書も、WEB上でダウンロード出来るので、患者も家族も便利に。
「これまでは、介護施設の事務員が詳細な書類を作成→印刷→三つ折りに畳んで被介護者家族に郵送していた作業も大幅に軽減され、収入印紙も不要に。このように、三方よしの発想に切り替えるメリットがあるのです」と、山本社長。
その結果、「厚生省の発表によると、驚くべき事に、介護業務の3割は事務作業でした。ところが、DX化によって軽減された時間が生まれます。その貴重な時間を介護研究に充てられれば、日本の介護は更に発展すると思います」と、介護レベルのアップも期待出来るのだと山本社長。
給料の低さが懸念される介護業界だが、DX化で3割の事務作業が軽減したことで、現場で働く介護スタッフの給料が1、2倍にアップされる計算にもなる。重労働なのに低い賃金の介護スタッフが、いつか憧れの職業へと転換される未来予想図も描けるのだ。
「アメリカでは、憧れの職業の5位までに挙がっている歯科医院や歯科衛生士ですが、日本では、まさかの130位台。マジシャンより低い現状から、もしかして脱却出来るかも知れません」と玉井社長。
着々と進んでいるDX化だが、頑なに導入しない人も存在する。導入に踏み切らない人達の理由とは? また、どうすれば納得してもらえるのか?
「大きな理由としては、紙文化で何十年もやってきた、という意識が強いのが挙げられます」と玉井社長。「一般企業には、IT担当者がいますが、この業界では不在なのも理由です。食わず嫌い的な。そこで、ビフォー&アフターの実例を見ていただいて、業務コンサル的な要素も含めて、DX化を導入するステップを丁寧に説明しています。同じ事を聞かないといけなかった内容が整理され合理化も図れると、納得していただけるようにナビゲートします」と山本社長。