そんな実情に対し、長きに渡り取り組んできたリーディングカンパニーの「カナミックネットワーク」山本拓真社長と、「スマートチェックアウト」玉井雄介社長から、医療介護分野における現実と問題点、さらには未来図を伺った。
法律が足かせになっていた! 医療介護のDX化
富士通を経て、現職に従事する山本拓真社長率いる「カナミックネットワーク」は、地域包括ケアなど、医療介護分野のIT化やDX化の草分け的な企業。自身は、政府や産官学の分野で様々な提言活動を行ってきた若き論客でもある。
ITリテラシーが低いと指摘されている業界だが、実は、法律で禁じられている事項が多いのも起因していると語る。「アナログだった業務から、デジタル・システムを医師会や自治体や介護施設に提案し、現在3万3000事業者に納めています。IT化が遅れている大きな要因は、『医療情報を外部に持ち出してはいけない』『カンファレンスは対面で行う』といった、法律規制が存在していた事が挙げられます」
そこで、厚労省とガイドラインを作って、セキュリティを保持しながら、改正緩和へと一歩一歩進めてきたなか、コロナ禍で大分緩和されてきたという。「その結果、競争は激化してきましたが、参入者が多くいないと業界が活性化しません。我が社は特許も取得しているので、国内は勿論、今後は海外へも視野を広げて展開していきたいと考えております」
カナミックネットワーク 山本拓真社長
一方、玉井雄介が代表取締役社長を務める「スマートチェックアウト」は、歯科医院院向けの決済システムで圧倒的なシェアを持ち、スマホアプリで予約から会計までを可能にしたサービスを展開予定。
歯科に通う人が、窓口に並ばずに気軽に歯科に通える画期的な決済システム「Pay Light Plus(ペイライトプラス)」は、7000以上の歯科クリニックが加盟し、全国シェア13%に。現在、急成長をひたすら走り続ける業界の革命児でもある。
スマートチェックアウト ⽟井雄介社長
「元々は、小さなシステム会社を経営していたのですが、2017年にスマートチェックアウトのオーナーになりました。自らの足で歯科クリニックを訪れていた時、家内制手工業のような歯科クリニックの実情を知り、2020年から「Pay Light(ペイライト)」をスタート。一見優雅に見える歯科医院ですが、アメリカでは平均年収が3000万円の一方、日本では500万円。しかも事務作業は6倍も多い。
そこで、先ずは患者と歯科クリニックとの間のデンタルIQのギャップを埋めたいと思いたちました。また、歯科クリニックの財務基盤も立て直したいと考えて、手数料を3%から1.5%にしたところ、波風が立ちましたが、『患者の幸せを考えましょう』と投げかけて現在に至ります。
将来的に、保険だけでは限界があると見据えて、自費や予防医療にも焦点を当て、PHR(パーソナルヘルスレコード)実現へ向けての開発にも余念がない。