ウクライナ海軍歩兵隊対ロシア空挺隊、1つの村をめぐる激戦が南部のカギを握る

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ウクライナ第35海軍歩兵旅団が南へ移動した2日後、ロシア第76親衛空挺師団のコストロムカ周辺の大隊が、ウクライナ編隊に対する破壊的攻撃をしかけたところ映したビデオがネットで公開された。ビデオには、戦車、BMP歩兵戦闘車、装甲偵察戦闘車、その他の車両からなるウクライナの大隊が、森林帯に沿った路上で捕えられる様子が映っている。

ロシアの砲弾(誘導爆弾の可能性もある)が少なくとも2発、軽量車両に命中した。もし一連の動画が真実を語っているのであれば、そしてその真偽はわからないが、ロシアの第76親衛空挺師団が第35海軍歩兵旅団のコストロムカへの攻撃を鈍化、あるいは中断させた可能性がある。

コストロムカを維持することが、ロシア軍のヘルソン東部における成功を保証するわけではない。実際、ウクライナの第128山岳旅団が、第76親衛空挺師団の拠点の東、ベリスラヴに向かって前進を続けている限り、ロシア軍は側面攻撃を受け、最も直接的な退路を絶たれる危機に直面している。

ウクライナ南部における武力の配置は一様ではない。ウクライナ軍は明らかに優勢だが、ロシア軍は地域内にまだ多くの軍勢がいて、その数は数万人におよび、ウクライナと1対1で戦うのに十分なほどだ。

しかし、ウクライナには短く損傷を受けていない供給ラインがある。一方ロシアは、孤立化が進むばかりだ。ウクライナ軍のロケット、大砲、ドローン、妨害工作員などは、5月以来ウクライナ南部各地の鉄道、橋、補給場所などを標的にしており、南部のロシア軍とロシア本土を結ぶ通信線を着実に切断している。

ウクライナの対兵站作戦は、10月7日のトラック爆弾とみられるクリミア橋の破壊でピークに達したといえる。この橋は占領下のクリミアとロシア本土をつなぐ唯一の経路だ。強力な爆発は、橋の複線鉄道線路を破壊し、自動車道4車線のうち2車線を崩落させた。クリミア橋が再開しない限り、ロシアにはヘルソン周辺の部隊を再補給する効率良い経路がほとんどない。

以上のように、第76親衛空挺師団が十分な軍勢と供給を得られる見込みはない。ロシアは現在保有している資源だけでコストロムカを維持するしかない。ロシア空挺隊拠点のすぐ北に集結しているウクライナ海軍歩兵隊には、そのような制約がほとんどない。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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