遅々として進まない気候変動教育
世界の数百万人の教師を代表する組合、教育インターナショナルは、気候変動教育の実施というコミットメントを多くの国が無視していると、報告書で指摘しています。組合の調査によると、パリ協定の目標に対するコミットメントとして自国が決定する貢献(NDC)を新たに提出または更新した95カ国のうち、若者への教育に具体的な言及があるのはわずか24%です。また、国の気候戦略の一環として気候変動教育(CCE)の義務化を要求している国はありませんでした。
さらに、報告書の著者らは、特に先進国の取り組みが不十分であることを指摘しています。「最新のNDCを提出した炭素排出量上位20カ国、及び富裕国上位20カ国のうち、気候変動教育に言及した国はありませんでした。炭素排出量上位国のうち3カ国が、将来の世代のウェルビーイング(幸福)に言及しているだけです。国の気候戦略で気候変動教育を論じているのは、むしろ炭素排出量が下位の国々でした」。報告書では、気候関連の学習を教育制度に取り入れる具体的対策を講じている国として、カンボジア、ドミニカ共和国、コロンビア、アルゼンチンを挙げています。
気候変動教育への取り組みを求める若者たち
社会運動団体のティーチ・ザ・フューチャーの調査で、英国の教師の半数以上が、自身の担当教科で気候変動について意味や関連性を持って教えていないと考えていることが明らかになりました。BBCニュースに対し、英国の学校カリキュラムの大幅な改変を望むと語っている18歳の運動家、スカーレット・ウェストブルックさんは、議会に対し教育法改正法案を作成しました。学生により本案が作成されたのは史上初のこと。13歳のときから運動を続けているウェストブルックさんは、「教育制度は、気候危機を全ての科目の中心に据える必要があります」と話します。そうすることで、「将来の世代は、気候変動の影響へ高い意識を持ち、冷静に対処する準備をすることができるのです」。
(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)
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