格差助長するスコットランドの「大学授業料肩代わり」政策

セントアンドルーズ大学(Photo by Graham Barclay/BWP Media/Getty Images)


しかもその門は、授業料のかかる私立校(プライベートスクール)に通っていない生徒にとってはますます狭くなる。スコットランドで私立校に通う子どもは20人に1人足らず(3.9%)だが、セント・アンドルーズ大学の学生では36.9%を私立校出身者が占めている。

言い換えると、同じスコットランド出身者でも、私立校の生徒は公立校の生徒よりセントアンドルーズ大学に入れる確率が9倍以上高くなるということだ。こうした私立校の学費は最高で年間4万ポンド(約620万円)にのぼる。

つまり、スコットランドに住んでいて、私立に通わせてもらえるほど裕福な家庭の人は、庶民に比べて、スコットランドで最も古く、最も優れた大学で4年間、政府の補助金を使って無料で授業を受けられる恩恵に、ずっとあずかりやすいということだ。

スコットランドの一流企業は、セントアンドルーズ大学出身者をほかの大学出身者よりも優遇する傾向にある。それも踏まえれば、出身校が私立か公立かという違いによって所得格差は是正どころか助長されているようにしか思えない。

forbes.com 原文

編集=江戸伸禎

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