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2022.09.27 12:30

アルCEOけんすうの偏愛漫画『G戦場ヘヴンズドア』|社長の偏愛漫画 #4




『G戦場ヘヴンズドア』日本橋ヨヲコ IKKI COMIX 全3巻
高校生の堺田町蔵が、同級生と共作で漫画を描き始める。父親との葛藤、実母の闘病生活と死など、家族をめぐるリアリズム、そしてマンガ創作に携わる作家と編集者の狂気。『少女ファイト』で長期連載中の作家が新人時代に描いた秀作。2000〜03年連載。

けんすう:この作品には、生きることに絶大な自信をもつスターはいません。いわば全員が脇役です。フランス革命も明治維新も、たったひとりのトリックスターが革命を成功させたわけではありません。新しい思想と時代の波が名もなき民衆を突き動かし、歴史を塗り替えていったのです。

僕が起業して、今こうして続けていられるのも、『G戦場ヘヴンズドア』の影響があります。

前の会社(Supership株式会社)を退任したときに選択肢がいくつかあって、一生ダラダラ暮らすのは全然できたんですよ。大学時代も同じで、わりと選択肢があった。それでも起業したのは、少しでもラクなほうに行ったら戻って来られなくなる自覚があったからです。だから、前の会社を辞めてから1日も空けずにアル株式会社を作りました。

起業はメチャクチャつらいので、やりたくないなという気持ちもありましたが、命を燃やしてでもやり続けようと思っているのは、この作品の影響だと思います。

余談ですけど、大学時代に2ちゃんねるをやってたひろゆきさんから「このままいくとおいらみたいになるよ」と言われて「ヤバイな」と思って活動したという“イイ話”もあります(笑)。


ふるかわ・けんすけ◎1981年生まれ。早稲田大学卒業後、2006年にリクルート入社。09年に退職し、ハウツーサイト「nanapi」を運営するロケットスタートを創業。14年にnanapiがKDDIの連結子会社化。Supership取締役を経て、18年にアルを設立。マンガコミュニティサービス「アル」などを提供する。

くりまた・りきや◎TSUTAYA IPプロデューサー。「TSUTAYA文庫」企画など販売企画からの売り伸ばしを得意とし、「仕掛け番長」の異名をもつカリスマ書店員。漫画レビュー連載や漫画原案なども手がける。

インタビュー=栗俣力也 文=荒井香織

この記事は 「Forbes JAPAN No.097 2022年9月号(2022/7/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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