「仮想通貨マイニング企業は使用エネルギー量を報告せよ」米政府が勧告

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OSTPは、仮想通貨マイニングの世界的エネルギー需要は1200億~1400億キロワット時/年であり、これはデンマークやチリなどの国の消費量に匹敵する。米国はまもなく世界の全仮想通貨マイニング事業の3分の1を抱えることになり、現在採掘者たちは国の総電力使用量の1.7%を消費していると指摘する。これは国全体の住宅照明に相当し、炭素排出量はディーゼル鉄道の排出量とほぼ同じだ。

レポートはさらに、仮想通貨マイニングは、大気汚染と騒音公害などを通じて地域コミュニティにも悪影響を与えていると指摘する。実際、マイニング施設の近くに住む住民は、過剰な騒音に苦情を訴えており、その音はジェット機や滝のようだという。仮想通貨プロジェクトは公害施設の蘇生にも寄与していて、たとえばモンタナ州南部の石炭工場は2年前にビットコイン採掘者のMarathon(マラソン)によって生き返った。

果たしてOSTPの勧告(データ透明性の向上、定期検査への協力など)が現実になるかどうかは不透明だ。しかし仮想通貨コミュニティは以前から規制強化を予期しており、中でもビットコインなどの仮想通貨を生成するために多大なコンピュータ・パワーの使用を余儀なくさせるプルーフ・オブ・ワーク(PoW)と呼ばれるプロトコルについては特にそうだ。OSTPはPoWを回避することを推奨しており、別のプロトコルに移行することによって業界全体の電力需要を現在の1%以下にできると理論づけている(大規模仮想通貨ネットワークの一つであるEthereum(イーサリアム)は近々PoWを捨て「プルーフ・オブ・ステーク」マイニングに移行する予定で、これによってエネルギー使用を99.95%減らせると主張している)。

OSTPは、エネルギー省、環境保護庁などの機関に仮想通貨の潜在的利益の調査を委託している。同局はたとえば、ブロックチェーン技術を気象監視などの作業に応用することを想定しているが、実用性はまだ不透明だ。

この1年、議会も仮想通貨のエネルギー使用に関する聴聞をいくつか開催し、Bitfury(ビットフューリー)などの会社の幹部を呼び、各社の製品の気候への影響について証言を求めた。各当局は同業界に関して同様の目標を設定しており、たとえば司法省は昨年10月に仮想通貨タスクフォースを設立している。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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