iPhone 14 Proに見るアップルの「底力」

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新しい部品に依存しない付加価値の構築

スマートフォンは最新技術の塊だ。当然、最新のiPhoneにも多数の新技術が盛り込まれる。しかし最新技術に価値があるのではなく、最新技術をどのように利用者の価値にするかが最も大切な部分だ。

iPhone 14 Proで感じるのは、そうした技術をエンドユーザーの価値へと変える力だ。

全画面をディスプレイで覆うデザインはiPhone Xからのものだが、ライバルたちも同様のアプローチを採用し、さらにはカメラの小さな穴をディスプレイに開けることで、カメラの切り欠き(ノッチ)が小さくなるよう工夫をした端末が増加していた。

その中でアップルは遅れていると指摘されてきたが、この問題にアップルは彼ららしい答えを用意していた。アップルはTrue Depthカメラという被写体形状を計測するセンサーを組み合わせたインカメラを使い、さらにはそれをさまざまな機能価値にしている。

カメラサイズを小さくし、ノッチを他者と同等に目立たなくするためには、ある程度、そのインカメラの性能を犠牲にしなければならない。
しかしアップルはTrue Depthカメラの幅を40%削減した上で、カメラの開口部に合わせ、対応するアプリの情報表示や簡易的な操作に利用可能にした。たとえばApple Musicで音楽を再生している時に上方向にスワイプすると、ダイナミックアイランドにジャケット写真と再生状態を表示。アイランドをタップすると操作パネルがポップアップし、操作を終えるとまたアイランドへと戻る。

インカメラがあるかぎりノッチの存在は避けられない。ならば、無理に小さくするのではなく機能性を確保しながら、切り欠き部の黒い部分を使って操作性を高めようというトライアルだ。

さらに言及すると、このトライアルは常時点灯が可能となったディスプレイ(更新速度を1秒に1度とし、減光時にも見やすくなるよう処理することで使ってない場合にも必要な情報を視認できるようになる)ともダイナミックアイランドは連動している。

ダイナミックアイランドに入っているアプリは、ロック画面上でその操作パネルが表示されてロックを外さなくとも操作したり、あるいはアプリの情報を確認できる。
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