アップルがその真骨頂を発揮したiPhone 14 Pro
機能面でのiPhone 14 / 14 Proには、自動車事故を自動検出して緊急通報を行なう機能、また日本ではサービスが提供されないものの衛星通信を用いて緊急連絡する機能、それに物理的なSIMカードの廃止(こちらも日本版では採用されていない)するなど、新基軸のアイディアと技術もあるが、その製品としての本質に違いはない。これを醒めた目でみると「よくはなったけれど世の中を変えるほどのものではない」という評論にもなるだろう。
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しかし市場の成熟はどのメーカーも抱えている課題だ。サムスンは折りたたみ端末Galaxy Z Foldシリーズに新しい方向性を見出そうとしているが、これはある意味、タブレットとスマートフォンの複合端末と見なすこともできるだろう。
一方、アップルはあくまでも“iPhoneとは何か”の本質を変えることなく、ひたすらにその基本を磨き込んでいる。基本となる形を変えたのはiPhone Xの時だけ。その際には「これまでの10年で完成させてきたiPhoneを次の世代に引き上げ、新しい10年の進化の基盤とする」といったメッセージを出した。
とはいえ、注意深く製品情報を集めていないと、ほとんど見た目も基本的な機能も変化していない今世代のiPhoneを“画期的”と感じる人は少ないのではないだろうか。
しかし、とりわけ最上位のiPhone 14 Pro、14 Pro Maxはアップルの真骨頂ともいうべき、異なるジャンルの技術を融合し、擦り合わせることで価値を高めるアップルの真骨頂ともいうべき製品改善のアプローチが実を結んでいる。