英国の新運輸長官は道路建設推進派 過去に気候変動否定も

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英国のリズ・トラス新首相の初の組閣で、アン=マリー・トレベリアンが運輸長官に任命された。前貿易大臣であるトレベリアンは、新しい役職に任命されたことに「感激している」とツイートし「暮らしにとって交通は極めて重要だ」と付け加えた。

ツイートには電車や自転車、宇宙船の絵文字があったが、歩行者やバスはなかった。

2015年にベリック選出の国会議員となる前、トレベリアンは2007年に自身が設立したロビー団体「Dual the A1 Campaign」でキャンペーンディレクターを務めていた。

2014年に当時のデービッド・キャメロン首相は、イングランドとスコットランドを結ぶA1道路の一部を拡幅するために3億3000万ドル(約478億円)を投じることを公約した。しかし2022年初めには、12月に予定されている新たな決定を条件にこの計画は中止された。

「10年以上にわたってこの計画の重要性を政府に訴えてきた。今さら止めるつもりはない」とトレベリアンは3月に述べている。

2012年に同氏が議会に提出した「A1道路の車線を2本に」という請願書には半年間でわずか624人の署名しか集まらなかった。

トレベリアンは同年、人為的な気候変動の存在を否定する一連のツイートを投稿している。同年6月には「陸地を覆う氷河はやはり溶けていないという明確な証拠」があると主張し、気候科学者を「破滅論者で地球温暖化狂信者」と断じた。

2012年の初めには風力発電所の建設に反対し「暑くなっていない。地球温暖化は実際には起こっていない」とツイートしている。

英政府によると、2019年の英国の二酸化炭素の総排出量の27%は運輸からのものだ。このうち91%が道路交通車両によるものだった。それでもトラス首相は6日、英国の新リーダーとしての短い初演説で新しい道路を建設することを2度にわたって約束した。

「道路、住宅、ブロードバンドをすばやく建設する必要がある」とトラス首相は強調した。

より安全な道路を


自動車協会AA会長のエドモンド・キングはトレベリアンの運輸長官就任を歓迎し、新運輸長官が優先すべき10項目のリストを発表したが、そこには新しい道路の建設は含まれていなかった。

キングによると、新運輸長官の最優先課題は「英国の道路をより安全なものにすること」と「地方の道路、自転車、歩行者の安全性を向上させること」だという。
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翻訳=溝口慈子

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