可能性の1つはレジオネラ菌で、レジオネラ症として肺炎を起こすことがある。検体に対する最初の検査では、そのような細菌は見つかっていない。しかし、レジオネラ・ニューモフィラ菌は、最初の検査では「ウォーリーを探せ!」的な存在になることがある。
さて、コーヒーメーカーが馬から落ちて私の頭に当たったというようなわかりやすい話とは違い「肺炎」という言葉は非常に広い意味を持っている。肺炎の原因はとても多いのだ。米国国立医学図書館(NLM)の発行するMedline Plus(メディシン・プラス)では、肺炎を「肺の片方または両方で起きた感染症」と定義している。よって「肺炎です」といわれることは「食べ物がトイレの床に落ちていましたよ」と言われるのとあまり変わらないのだ。それは明らかに良いことではないが、どのように悪くなり得るのかには大きな振れ幅がある。
この謎の肺炎では、ほとんどの人が両側の肺を侵される「両側性肺炎」になっている。当然ながら、片肺だけが侵されるよりも両肺が侵される方が、症状が悪化する傾向にある。(ジャスティン・)ビーバー熱の話をしているのでなければ「もっと自分の体に感染させたい」といいたくはないだろう。実際この謎の肺炎は、死をもたらすことがすでに証明されている。
PAHOは、米国時間8月30日にアルゼンチン保健省から初めてこの集団発生の報告を受けた。その報告はアルゼンチン北西部のサン・ミゲル・デ・トゥクマンにある個人診療所で、医療従事者が5人、集中治療室に入院していた患者が1人の計6人の両性肺炎が発生したことを報告したものだった。患者たちは米国時間8月18日から22日にかけて、発熱、筋肉痛、腹痛、息切れなどの症状が出始めた。最終的は5人が入院し、2人が死亡した。
その後、9月1日にはトゥクマン州公衆衛生省から、さらに3人の医療従事者が、現地時間8月20日から21日の間に始まった同様の症状を呈する、同様の肺炎に苦しんでいることが報告された。この3人のうち、1人が死亡した。
その後、現地時間9月2日にはさらに1件の報告があり、報告件数は10件となった。
なお、今回の感染者たちは、ほとんどの場合、発症前に何らかの持病を持っていた。
繰り返しになるが「パ」で始まる言葉を使い始めるのは時期尚早だ。現在のところ、パンデミックを予感させる材料は存在しない。この肺炎がどのように広がっていくのかは不明だが、両側性肺炎は何かが吸引されていることを示唆している。なので、今は(肺炎になった人が身近にいない限り)深呼吸をして、この流行がどうなっていくのかを見守っていてほしい。
(forbes.com 原文)