テクノロジー

2022.09.10 11:00

「なまり矯正」アプリはイノベーションか、標準化差別か

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批判に対して、セレブリャコブは自身のリンクトインの投稿でこのように発信している。
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「コールセンターは、ほんの始まりに過ぎません。企業間のコミュニケーション、ゲーム、教育、ビデオ会議など、さまざまな分野にSanasを導入したいと考えています。誰もが好きなように発音できるようになることで、日常的なコミュニケーションの差別をなくしたいのです」

AIの限界は人間の限界?


AIによる技術は日々開発され、現在ではありとあらゆる分野で活用されている。AIによる描画サービスも話題になったばかりだ。しかし、AIにも限界があることを知らせるニュースも後を絶たない。

2016年にマイクロソフトが開発したAIボット「Tay」は、過激で差別的な発言により公開からおよそ16時間で休止した。アマゾンが開発しようとしたAIによる採用システムは女性を排除しようとして、活用に至らなかった。過去10年分の採用結果をみて、女子大学出身者や女性関連のスポーツやサークルに所属する人を自動的に候補から落としていたのだ。それは過去の人間による偏見をもとにデータを集めているためだった。
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このような事例は今でも存在している。今回の事例はAIそのものの問題ではないが、共通しているのはどのようなAIでも「人間」が開発しているということ。その人間の判断が間違っていれば、自ずとAIも問題を起こしてしまう。

AIとの付き合い方


それでも私たちに、今後AIのない未来を描くことは不可能だろう。それならば、このAIとの付き合い方を慎重に考えていきたい。

今回の発音を正すアプリはたしかに便利である。しかし、それは長期的にみて人間を幸せにするのか。「正しさ」を優先することで、さらなる差別につながらないか。それともたくさんの人の雇用を生み出し、彼らの満足度を上げるのか。

この倫理的な問題を考えることは、技術を開発することよりも複雑かもしれない。それでも私たちは自分たちの幸せを選択できる権利がある。

あなたが投資家であるならば、この会社に投資をするだろうか。

文=井土亜梨沙 編集=石井節子

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