PTSD患者が大麻による治療で恩恵を受ける可能性が明らかに

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ウェイン州立大学の新しい研究によると、大麻の主要な精神活性成分であるTHC(テトラヒドロカンナビノール)の低用量摂取は、特に認知的再評価療法と組み合わせた場合に、感情調節障害を持つPTSD患者の助けとなる可能性があることが示唆された。今月、Neuropharmacologyに掲載されたこの研究では、PTSD患者が、THCを使用した場合、プラシーボを使用した場合よりも、認知再評価タスク中に報告されるネガティブな感情が少なかったことが明らかになった。また、PTSD患者がこの種の課題を行う際に、通常はあまり活性化されない脳の領域で、THCを使用した人の脳の活性化が増加したことも明らかになった。これらの変化は、PTSD患者と非患者の間に見られる神経生物学的差異を減らすのに十分であり、THCによる感情制御の改善を説明している。

大麻がPTSDの患者を助ける可能性を示唆する研究は、今回が初めてではない。これまでの研究では、THCがPTSDの症状を軽減し、ストレスの多い状況での不安を軽減し、扁桃体の治療関連反応を軽減し、コルチゾールなどのストレスの化学的マーカーを軽減できる可能性があることがわかっている。

しかし、THCがPTSD患者の認知再評価タスク中の大脳辺縁系の活性化にどのように影響するかを調べた研究は、今回が初めてである。

認知的再評価とは、感情的な引き金となるものを、それについてあまり強く感じないように考え直すことである。例えば、テレビ番組で誰かが刺されているのを見て怖くなった場合、これは想像上の物語を演じている役者に過ぎないと自分に言い聞かせることができる。このように状況を捉え直すと、その番組を見て怖いと感じることが少なくなるかもしれない。PTSDの治療法には、このような認知的再評価を利用するものがあるため、研究者たちはTHCがこのプロセスをどのように変化させるかを知りたいと考えた。

そこで研究者らは、51人の被験者に、7.5mgのTHCカプセルまたはプラシーボカプセルを無作為に投与する二重盲検試験を行った。そして、THCの効果がピークに達する時間帯に、認知的再評価を利用した感情調整タスクが実施された。これらの課題は、主に、感情的に引き金となる画像を見せ、それを再評価する機会を与えるというものであった。これらのタスクの間、患者はFMRI装置でスキャンされ、感情の状態について質問された。
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翻訳=上西 雄太

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