当時、「セカンドライフ」には多くのユーザーがいた。平成19年版「情報通信白書」にも、「同年3月末には約500万人以上の参加者がおり、仮想空間内で取引されている金額が約180万米ドル(当時の為替レートで約2106億円)に達していた」むねの記載がある。また、仮想通貨と法定通貨の換金等、既存の社会経済システムでは処理しきれない事態の懸念も示唆している。
リンデンラボが提供する「セカンドライフ」はサービスとして今も存在しているが、認識している人は少なくなってきているかも知れない。
「メタバース」の話になると、この「セカンドライフ」の二の舞になるのではないかという声をチラホラ聞く。
メタバースを使ったEコマース
メタバースも、セカンドライフ同様、オンラインゲームや仮想空間での利用が考えられているが、個人的に注目しているのは「メタバースを使ったEコマース」である。
フリーランチが存在しないように、無料のWebサービスも存在しない。無料に見えても、何かしらのビジネスモデルや意図がそこには隠れている。Webサービスの運営にもコストがかかるからだ。では、メタバースを開発・運用するためのコストは誰が負担するのか。そこが発展の課題となる。
だが、そのコストをEコマースの出店者が負担出来るようになれば、ある程度解決するのではないか。販売価格の中にメタバースのコストを販売促進費として包含できればいいのだ。
もちろん、簡単に「包含できればいい」とはいうものの、販売促進費として処理するには商品価格の単価がそれなりに高価格帯でないと吸収できない。そこで考えられるのが、「ラグジュアリー商品や高額商品」である。
コト体験の提供、ハイブランドのみならず、「肉」で
例えば、パリやニューヨークに本店があるブランドショップにオンラインで訪問出来て、本店のスタッフが接客してくれ、購入体験が出来る、そんなコトが提供できれば、本店へのアクセスが難しいユーザーは喜ぶだろう。
自動車のショールーム。オンラインでクルマを見て回って、気になったクルマの説明を受ける。他の客人や待ち時間を気にせずに済めば、一日を潰さずにクルマを選ぶことが出来るだろう。