初音ミクはコンピューターに好きな歌を歌わせることのできる「VOCALOID」技術を用いたソフトウェアです。販売開始から瞬く間にブームとなり、いわゆる「ボカロP」と呼ばれる作り手により、完成度の高い曲が次々と「ニコニコ動画」をはじめとするサイトに登場しました。
さらに面白いのが、生み出されたのは楽曲だけでなかったこと。楽曲にインスパイアされた別のユーザーが曲のアレンジをしたり、イラストを描いたり、踊ったり歌ったりするという創作の連鎖が起こり、垣根を超えた作り手同士のコラボレーションも生まれたのです。
「一億総クリエイター時代」が到来したといわれて久しいですが、初音ミクの誕生はまさにそんな時代への入り口を作る大きなきっかけだったといえるでしょう。
初音ミクが誕生した時代、CDセールスは全盛期と比べ下降の一途を辿っており、音楽業界全体に疲弊したムードが漂っていました。コンピューターとインターネットによってCD音源が劣化なく誰でもインターネット上でコピーできるようになったのがひとつの原因といわれています。
今では当たり前のように、インターネット上のサブスク配信サービスにより音楽が聴き放題になっていますが、当時はインターネットの普及が音楽を殺すとまでいわれていた時代でした。
しかし、初音ミクと新しいクリエイターは、インターネットの力で音楽の新しい時代を作り、疲弊していた音楽業界を救ったのです。
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