子宮頸がん検診とHPVワクチン、白人女性の普及率が低い米国

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新たな調査からは、米国で進行期の子宮頸(けい)がんと診断される数の年間上昇率が、白人女性の間で最も高かったことが判明した。初期段階の子宮頸がんの診断数は1年につき約1.6%の割合で減ってきているが、進行期で診断を受ける人の数は年間1.5%の割合で増えていて、研究者を困惑させている。

子宮頸がんは初期に発見された場合は大いに治療可能で、診断後5年の生存率は92%だ。しかし、がんが骨盤を超えてぼうこうや胃、遠隔臓器など他の部位へと転移し進行期の子宮頸がんと診断された場合、診断後5年の生存率は約17%ほどしかない。

国際婦人科がんジャーナル(International Journal of Gynecological Cancer)に発表された今回の調査によると、白人女性の間で進行がんの件数が大幅に増加しているにもかかわらず、子宮頸がんと診断される確率は黒人女性の方がいまだに高いことが判明した。白人女性の場合の診断率は10万人につき0.92件で、黒人女性の間では1.55件だ。

同調査はまた、診断率の地理的な差も分析した。その結果、米南部では進行期の子宮頸がんと診断される頻度が10万人中1.17件と最も高く、他の調査対象地域における0.82~0.93件を上回っていた。

研究者らは論文の中で「検診とワクチン接種があるにもかかわらず、過去18年間で遠隔病期の子宮頸がんが減っている人種・民族集団や米国内の地域、年齢集団は一つも存在しない」と述べている。

最もリスクが高かったのは南部に住む55~59歳の黒人女性で、進行がんの割合は南部の白人女性の倍近かった。しかし、人種や地理的地域、年齢を考慮してデータを処理した場合、年間の増加率が最も高かったのは南部の40~44歳の白人女性で、4.5%だった。

研究者らは、全ての人種の間で進行子宮頸がんの診断が増えている要因について直接結論を出せていないものの、肥満率の増加や初産年齢の高齢化がこうしたタイプの子宮頸がんの増加に寄与しているかもしれないと示唆した。白人女性の間では、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの接種率と、子宮頸がん検診の勧めに従うケースが少ないことも理由かもしれない。

子宮頸がんは10件中9件がHPVを原因としていて、若年層の女性の間ではワクチン接種活動により既にがんの割合が下がっている。また、子宮頸がん検査やHPV検査などの検診を受けることが早期の診断につながり、問題になる前に前がん細胞を除去することさえできる可能性がある。
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翻訳・編集=出田静

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