ズームの株価は同日、前日比15%あまり安い82ドル弱で引けた。
ズームが前日に発表した2022年5〜7月期決算は、売上高が約11億ドル(約1500億円)と市場予想(11億2000万ドル)に届かなかった。前年同期比では8%増えたものの、伸び率は前の四半期の12%から減速した。
純利益は4570万ドル(約62億4000万円)と前年同期の約3億1700万ドルから大幅に減少した。販売・マーケティング費がかさんだのが響いた。
経営陣は売上高にはドル高の影響もあったと説明したほか、「マクロの動向」や厳しい経済情勢にも警戒感を示した。同社は通期の業績見通しも下方修正している。
BTIGのアナリストは22日、ズームについて、収益性やキャッシュフローの最近の低下は「売上高の伸びがさらに鈍化しているだけにやや懸念される」とし、投資判断を「買い」から「中立」に引き下げた。
シティグループのアナリストは、ズーム株の投資判断を「中立」から「売り」に引き下げた。他社との競争が激化していることなどを理由に挙げ、同社の製品を使う中小企業が経済的な圧力にさらされている状況にも警鐘を鳴らしている。
新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)が起こり、在宅勤務などのためにビデオ会議サービスの利用が広がったことを背景に、ズームの株価は2020年に400%以上急伸した。だが、その後は不振にあえぎ、昨年はおよそ45%下落、今年に入ってからも55%強下げている。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は年初来21%の下落となっており、ほかの構成銘柄と比べてもズーム株の低調は際立っている。
BTIGのアナリストは、ズームの大企業を対象とする部門は5〜7月期に顧客数が前年同期比18%の20万4000となるなど「引き続き成功」を収めているものの、個人や中小企業などのオンラインビジネス部門が1桁台後半の加入者減になっているほか、新興市場での「圧力」も続いているために、その成功の効果が薄れてしまっていると指摘。不透明な経済情勢もあり、ズームの株価低迷は今後さらに拍車がかかるおそれがあるとしている。
23日の株価下落により、ズームの創業者エリック・ユアンの資産額は7億ドル(約960億円)ほど減った。フォーブスの推定によると、ユアンの純資産額は昨年のピーク時には150億ドル近くあったが、足元では45億ドル(約6100億円)ほどに縮んでいる。
(forbes.com 原文)