スプラッシュ・パッド
米疾病予防管理センター(CDC)は2022年8月5日、スプラッシュ・パッドと呼ばれる、スライダーやシャワー、噴き出す水などが仕掛けられた水遊び場に関連して、新たに2つの集団感染が発生したと発表した。
まずは、カンザス州の野生動物公園に設置されていたスプラッシュ・パッドで、6月11日に起きた集団感染だ。ここを利用した人のうち21人に、下痢を引き起こす疾患、細菌性赤痢の感染が確認された。
スプラッシュ・パッドは、十分な規制がなく、消毒薬の使用が必ずしも義務づけられているわけではない。今回の集団感染が発覚したのは、赤痢菌が発生した場合には州保健局に報告義務があるためだ。
調査を進め、体調を崩した利用者と、体調を崩さなかった利用者を比較したところ、スプラッシュ・パッドで遊んだこと自体と感染には関連がなかったが、スプラッシュ・パッドの水しぶきが口の中に入ったことが原因になっていたことがわかった。
さらなる調査から、カンザス州の同じスプラッシュ・パッドで6月18日、子ども6人がノロウイルスに感染し、体調を崩していたことが確認された。
2005年には、各地のスプラッシュ・パッドを利用した2300人以上が、寄生虫のクリプトスポリジウム症に感染するという集団感染が発生したという記録がある。
カンザス州でこのたび発生した細菌性感染症の集団感染は、スプラッシュ・パッドの水を適切に塩素消毒しておくだけで、容易に予防できていた可能性がある。遊び場で噴き出している水を常に塩素消毒された状態に保つのは、難しいが不可能ではない。
実際、同施設では消毒手順を改善して以降、感染がいっさい起きていない。スプラッシュ・パッドで使われる水は、貯水槽に一晩中、貯めたままにしてはならない。水は絶えず循環させながら、フィルターでろ過して塩素消毒をするべきだ。できれば、自動の塩素管理システムを使用するのが望ましい。
スプラッシュ・パッドは、幼児などが利用する遊び場であるため、リスクが大きい。多くの幼児がおむつをつけているが、おむつをつけていても汚染は防止できない。子どもたちは水の噴き出し口に座って遊ぶのを好み、それが大腸菌のさらなる拡散につながる。おまけに、子どもたちは顔に水をかけるのが大好きだ。