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2022.08.27 14:00

プールなどに潜む感染症リスク、正しく予防して楽しく遊ぼう


クリプトスポリジウム原虫と異常気象


2022年夏は、多くの地域が干ばつに見舞われている。干ばつが起きると、水中に含まれる病原菌や汚染物質の濃度が増すことがある。一方で、洪水が発生した地域もある。洪水によって、工業用の化学物質や農業排水が流出すると、下水処理施設に過度の負担がかかってしまう。

2000年から2010年にかけて発生した、水を媒介した感染症の集団感染では、寄生虫のクリプトスポリジウムが主な原因だった。この寄生虫は、湖のほか、ウォーターパークやプールで拡散することが多い。

2000年から2014年にかけてレジャー施設で発生した集団感染のうち、3分の1はホテルのプールとジャグジーで起きている。CDCのヘルシー・スイミング・プログラム責任者ミシェル・フラヴサ(Michele Hlavsa)は、「クリプトスポリジウムに汚染された水をひと口飲み込んだだけで、たとえ健康な子どもや大人であっても、何週間にもわたって水溶性の下痢や胃けいれん、吐き気、嘔吐に苦しめられる場合がある」と話す。フラヴサは公衆衛生学修士(M.P.H.)で、登録看護師(R.N.)でもある。

「脳食いアメーバ」の別名を持つネグレリア・フォーレリ


稀ではあるが、スプラッシュ・パッドでネグレリア・フォーレリの集団感染が発生したことがある。このアメーバが引き起こすのが、原発性アメーバ性髄膜脳炎(PAM)だ。発症すれば、ほとんどの場合は死に至る。

このアメーバ虫体は、口からではなく鼻孔を通じて体内に侵入する。鼻うがい容器で副鼻腔を洗浄するときに、滅菌水を必ず使用しなければならないのはそのためだ。

ネグレリア・フォーレリに感染した場合の治療手順は、CDCが発表している。

水遊び中の感染を予防するには


CDCは、プールで泳いだり、ジャグジーに入ったり、水遊び場で遊んだりするときに、以下の点を注意するよう呼びかけている。

・自分や子どもが下痢をしているときは、利用しないこと。クリプトスポリジウムが原因で下痢をしたときは、症状が収まっても、2週間は泳いではならない。
・プールやジャグジー、水遊び場が適切な検査を受けているかを確認すること。
・水に入る前に、市販されているpH試験紙を使って、水素イオン濃度指数(pH)、臭素、遊離塩素のレベルが適切かどうかを確認すること。
・プールやジャグジー、噴水の水を飲み込まないよう注意すること。
・子どもを1時間ごとにトイレに連れていくこと。おむつは、プール横ではなく、専用のおむつ交換台で替えること。

常識をわきまえて予防すれば、今年の夏も安全に水遊びができるはずだ。

forbes.com原文)

編集=遠藤宗生

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