ライフスタイル

2022.08.19 17:00

ポルトのカフェで考えた、通いたくなる店の条件

ポルトのドウロ川に架かるドン・ルイス1世橋


この時の会計は2.4ユーロ(約332円)だった。エスプレッソダブルと大きなパステル・デ・ナタを合わせた値段である。数日前まで滞在していたロンドンでは、3.5ポンド(約578円)のカフェラテでも「安いな」と感じていただけに、2.4ユーロは驚きの価格であった。
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カフェにお菓子だけを買いにくる客も目立った

顧客のニーズを確実に捉えること


ポルトのカフェは、スタッフの愛想が良いわけでもないし、手を上げてもなかなか気づいてもらえないこともある。しかし、サービスは関係ない。むしろほったらかしが、心地良い。過剰なサービスであれば、敷居が高くなる。

居心地の良さこそが、武器になる。もし、ポルトに住むようなことがあれば、このカフェは筆者のライフスタイルに深く食い込むことであろう。
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「顧客のニーズを確実に捉えることでしょうね。例えば私は床屋に居心地の良さを求めており、ここにはそれがある。ニーズを捉え続けることで、いつしかお店が顧客のライフスタイルに組み込まれ、結果的に持続可能なビジネスが実現するのだと思います」。冒頭の「小さな店が生き残るために必要なこととは」という質問に対し、筆者はポルトガルでの光景を思い起こしながら答えた。

「なるほど。いいこと言うなあ」。店主が噛み締めるようにつぶやいた。それを聞いて、「やっぱりここは居心地が良いなあ」と思った。これからも、筆者のライフスタイルから、この床屋がなくなることはないだろう。

*為替レートはいずれも2022年7月28日時点

文・写真=田中森士

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