音楽の「痛み緩和」効果、選択の自由でさらにアップ 研究結果

Getty Images

腰痛、頭痛、生理痛──。数日、あるいは数週間にわたって体のどこかに痛みを感じることは、ほとんどの人に経験があることだ。その痛みの軽減の仕方が音楽の聴き方によって変わることが、先ごろ発表された研究結果で明らかにされた。

米科学誌プロスワンに発表された論文によると、ロンドン大学クイーン・メアリー校のクレア・ハウリン博士(生物・実践心理学部)の研究チームとアイルランドのユニバーシティ・カレッジ・ダブリンのチームは、聴きたい音楽を「自ら選ぶこと」と、痛みを軽減させることの間に関連性があることを確認した。

この研究には、ある程度の痛みを一定の期間にわたって感じている(0~10の数値評価スケールで痛みの程度が判断されている)成人250人以上(主に欧州と北米の居住者)が参加した。

研究チームはこの調査をより実生活での経験に近い形で行うことを可能にするため、オーストラリア出身のミュージシャン、アナトールに作曲を依頼。

参加者の誰も、それまでに聴いたことがない曲を使用した。そして、曲を聴いた前後に、それぞれが感じている痛みについて評価してもらった。

チームは参加者たちを2つのグループに分け、一方にはシンプルな曲、もう一方には複雑な曲を聴いてもらった。さらに、それぞれのグループの半数の参加者たちには、どちらの音楽を聴くか「自ら選択した」と錯覚させるように設定し、残る半数には指定した曲を聴いてもらう形にした。

選択肢を与えられたと思っているグループには、用意したシンプルな曲と複雑な曲それぞれの異なる部分4カ所をサンプルとして提供。「痛みがあるときに聴くのに最適だと思う曲を選んでください」と伝え、自分で選んだ曲を聴いたと誤解するようにした。

その結果、自分で選んだ音楽を聴いたと思っていたグループは、シンプルな曲、複雑な曲のどちらの場合においても、指定されて聞いたと思っていた人たちより大幅に、痛みの緩和を感じていたことが分かった。

また、普段から積極的に音楽を聴いていたり、自分で音楽を演奏していたりする人ほど、自分で選んだ音楽を聴いたと思った場合にはより大幅に、「痛みが和らいだ」と感じていた。

この研究結果は、痛みを緩和するための治療の一環として音楽療法を取り入れたいと考える医療関係者、そして患者たちにとって、有益な情報となるだろう。テンポが速くても遅くても、にぎやかでも静かでも、曲のタイプは効果にそれほど大きな違いをもたらさないと考えられている。

重要なのは、痛みを感じているその人が「自分で選んで」その曲を聴いているということだとみられる──痛み緩和用のプレイリストに、あなたはどの曲を加えるだろうか?

編集=木内涼子

ForbesBrandVoice

人気記事