米最高裁の中絶判決が進学先に影響すると米学生の3分の1以上が回答

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大学在学中および入学予定の学生を対象とした新しい調査により、連邦最高裁判所が最近下した「ドブス対ジャクソン女性健康機構事件」(ロー対ウェイドを覆した判決)が、大学進学先の決定に影響をおよぼすと回答した学生がかなりの割合を占めていることが明らかになった。

この調査は、BestCollegesが2022年7月7日から13日にかけて、大学生および大学院生の現・入学希望者1000人を対象に実施したものだ。回答者は現在学位取得中か、今後12カ月以内に準学士、学士、修士、博士、専門職のいずれかの学位を取得する予定の16歳から65歳だった。

回答者には中絶に対する考え方、ドブス判決が大学進学の選択に与えた影響、最高裁に対する意見、大学が学生に提供すべきリプロダクティブヘルスサービスに対する考え方について一連の質問がなされた。

人工妊娠中絶に対する考え方


現在および将来の学生の半数以上(59%)が、ロー対ウェイド裁判を覆した最高裁の決定に反対すると答え、3分の2以上(69%)が、女性が中絶を選択する権利を支持すると答えている。中絶をする女性の権利を支持しないと答えた学生は5人に1人以下(16%)だった。

女性は男性よりも、今回の判決に反対すると答えた人が多かった(67%対48%)。また、中絶を選択する女性の権利を支持する人も男性より多かった(73%対64%)。LGBTQ+の学生は、ストレートと自認する学生よりも、女性の中絶の権利を支持する傾向が強かった(78%対67%)。

大学進学への影響


回答者は、ロー対ウェイド裁判を覆す最高裁判決が現在大学に通っている州に留まるか、あるいは学部・大学院課程のために特定の州の大学に通うかの決断に影響を与えるかどうかを尋ねられた。

・現在の学部生では43%が「はい」、45%が「いいえ」、12%が「わからない」と答えている

・大学院生では42%が「はい」、40%が「いいえ」、17%が「わからない」と回答している

入学予定者は在校生に比べ、ロー対ウェイド裁判が覆れば、その州の大学に入学するかどうかが変わると答えた人がやや少なかったが、学部生予定者の39%、大学院生予定者の35%が、そうなると答えた。

黒人、先住民、有色人種(BIPOC)を自認する現在の学部生は、白人学部生よりも、ロー対ウェイド裁判を覆した判決が現在通っている州に留まる決断に影響すると答える傾向が強かった(51%対35%)。

また、BIPOCと名乗る学部生は、白人の学部生よりも、今回の最高裁の判決が、特定の州の大学に進学する意思決定に影響すると答える傾向が強かった(43% vs. 34%)。

現在の大学生と大学院生の3分の1以上(37%)が、もし進学先を決める前にロー対ウェイドを覆す連邦最高裁の決定があったならば、別の州の大学に通っていただろうと答えている。

全体として、在学生と入学希望者の3分の2以上(68%)が、現在住んでいる州の中絶に関する法律や規制についてよく知っていると答え、半数以上(57%)の学生が、中絶する権利を法的に保護している州の大学に通うことを希望していると答えた。反対する学生はわずか17%だった。
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翻訳=上西 雄太

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