江戸時代には八代将軍徳川吉宗によって「新規御法度」というおふれが出され、新しい発明や工夫が禁じられた時期がありました。明治維新後、日本でも多くの優れた発明がなされるようになりましたが、同時にアイデアの盗用問題も顕在化します。近代化を急ピッチで進めるなかで、特許制度の整備は必要不可欠でした。
そのため、1885年に専売特許条例が公布され、1905年に特許制度を補完するために実用新案法が制定されます。初めての特許付与がなされた8月14日には、「生茶葉蒸器械」「稲麦扱機械」など7つの特許が認められました。
そのうち栄誉ある日本の特許第1号に輝いたのが、堀田瑞松が出願した「堀田式錆止塗料とその塗法」です。鉄製の船底や機械などに塗布して錆(サビ)止めをする塗料に関する特許でした。堀田はもともと美術工芸家で漆工芸を通じて漆の防錆効果を認識していたため、漆を主成分とする錆止塗料を着想することができたのです。
特許第1号から100年以上が過ぎ、現在は日本国特許庁への特許出願件数は減少傾向が続いています。徐々に減少をしつつも2019年までは30万件を超えていましたが、2020年は28万8472件でした。2021年は微増したものの29万件に届いていません。
とはいえ、世界全体でいえば日本の特許出願数はかなり多いほうだといえます。2019年における世界での特許出願件数は322.4万件、日本国特許庁は中国国家知識産権局、米国特許商標庁に続いて世界3位の出願数でした。
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