フォーブスが確認した米証券取引委員会(SEC)への提出書類によると、フレンチ・ゲイツは2021年12月以降に約14億4000万ドル(約1900億円)相当の株式を売却した。昨年末に彼女は自動車小売店オートネーションの株式367万株を推定4億2900万ドルで売却し、持ち株比率を4%に引き下げた。同時期に彼女は、約4億6800万ドル相当のカナディアン・ナショナル鉄道株と360万ドル相当のコカ・コーラFEMSA株も売却している。
また、7月に報告された直近の売却では、5億3800万ドル相当のカナディアン・ナショナル鉄道株を追加で売却し、同鉄道会社の持ち株比率を以前の3.3%から2.2%に引き下げた。
フォーブスは、彼女の投資会社のピボタル・ベンチャーズ(Pivotal Ventures)にコメントを求めたが、現時点で回答は得られてない。
フレンチ・ゲイツがこの現金を何に使うのかは不明だが、ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は、彼女がその財産の大半を、元夫と2000年に設立した慈善団体であるゲイツ財団に託すことはないと報じていた。
一方で、これらの資金の一部が、ピボタル・ベンチャーズに流れている可能性はある。ピボタルは2019年に女性に特化したロボット投資プラットフォームのEllevestに出資したが、今年に入り同社の5300万ドルのシリーズBラウンドに参加した。また、投資会社のMagnify CapitalとChingona Venturesのリミテッドパートナーに参画した。
フレンチ・ゲイツは昨年末に更新したギビングプレッジ(Giving Pledge)の書簡で、今後も財産の大部分を寄付していくと宣言した。「私は、これほど多くの富が一人の人間に集中していることが不条理であることを認識しており、できるだけ思慮深く、インパクトのある方法で、それを多くの人に与えたいと考えている」と彼女は書いていた。
ビル・ゲイツもまた、自身の財産を手放すための努力を行っている。彼は先月、約65億ドル相当のカナディアン・ナショナル鉄道株と農機具メーカーのディア・アンド・カンパニー社の株をゲイツ財団に譲渡した。これは、彼が7月に発表した同財団への新たな200億ドルのコミットメントの一部だ。