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2022.08.10

頼まれることはできること。肩書だって「ソウゾウ」できる丨萩原なつ子

社会学者の萩原なつ子


ジェンダーに関しては、子どもたちの親や祖父母、先生世代がバイアスを持ってしまっていることが課題です。昨年から、兵庫県豊岡市のジェンダーギャップ対策室の地域啓発アドバイザーとして、地域住民に対してだけではなく、保育園と幼稚園の先生方に向けた研修も行っています。そこでは「未来の子どもたちの可能性を奪わないようにしましょう」と伝えています。

確かに、「男の子はブルー、女の子はピンク」などと分けてしまえば効率的かもしれないですが、未来のある子どもたちだからこそ、ひとり一人の個性や多様性を尊重する配慮が求められます。

例えば、『ライオン・キング』の主人公のシンバが大好きな女の子が、保育園のお泊り保育のときにシンバのパジャマを着ていたらどんな言葉をかけますか?もし、「男の子のパジャマだね」と言われたらどうでしょうか。先生はなにげなく言ったかもしれませんが、女の子は傷ついてしまうかもしれない。そうした無意識のジェンダー・バイアスに気づいてもらうことが重要なんです。



ジェンダー教育とは、1人ひとりの可能性を奪わないために、決め付けや押し付けをやめること。「女だから/男だから」「と性別で決めつけるのではなく、「何をしてみたいの?」と聞いて、「じゃあそれをやるためにはどうしたらいいかな」と一緒に考えられる大人が増えてほしいですね。

──U30世代の若者は、どんな特徴があると感じていますか。

インターネットの台頭とともに、とても早いスピードで予想もしなかったことが起こるようになりました。デジタルネイティブ世代の方々は、そこについていかなければならないという現実に、真摯に向き合っているように思います。

加えて、既存のものを組み合わせて新しいものを生み出す力があると思います。「あなたは何をやっているの?」と聞かれたときに、うまく説明できない人もいると思います。だけど、自分の中では全部の行動がつながっているはずだし、結果的にイノベーションを起こすこともできる。

今あるものの中から「これになりたい」と考えるよりも、「こういうのもあるんだな。だけど自分はこれとこれを組み合わせてこんなことができるんじゃないか」などと柔軟に考えられる時代です。これからの時代を生きる若い皆さんには、想像力と創造力、2つの“ソウゾウ”力を持ってほしいですね。
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文=堤美佳子 取材・編集=田中友梨 撮影=山田大輔

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