I deal with the rocky road to our modern understanding of earth

Daniel Prudek / shutterstock

100年近くの間、標高8848メートルのエベレストの頂を制覇することは登山家の目標とされてきた。登山家は空気の薄さや極寒の環境に体を慣れさせるため、数週間を掛けてキャンプからキャンプへと登っていく。標高7900メートルにある最終キャンプは、「デスゾーン」として知られるエリアの中にある。

人間は標高7900メートル以上の地点では、酸素が足りないために、ゆっくりと窒息死に向かっていくという。1922年以降、エベレスト登頂を目指した登山家は8400人以上に及ぶが、そのうち300人近くが命を落とした。亡くなった人の大半が、デスゾーン内かその付近で絶命していた。

エベレストで命を落とした登山家の遺体は強風と低い気温によりミイラ化し、その場で凍りつく。遺体を回収するには氷を砕かなくてはならないうえ、凍結によって遺体の重さが2倍にもなりうるため、回収は極めて困難だ。

1人の遺体を回収するのに8人の人員が必要になることもある。そして回収作業は極めて危険でもあり、その過程で亡くなった人もいる。

ドイツ人登山家Hannelore Schmatzは1979年、下山中に帰らぬ人となった。バックパックに寄り掛かかり目を開けたままの姿で絶命し、髪の毛が強風にたなびいていた彼女の遺体は長年、山頂への目印となっていた。1984年、彼女の遺体を回収しようとしたシェルパとネパール人警官が命を落とした。彼女の遺体はその後、強風によって山腹を転落してしまった。

雪崩や滑落によって亡くなった登山家の遺体は、エベレストから流れ降りる氷河の中に固定される場合もある。これまでに、推定200人の遺体が氷に閉じ込められたまま見つかっていない。

一般的に氷河の上で亡くなった人の遺体は、氷の中に何年もあるいは何百年も閉じ込められていることが多いが、亡くなった場所から氷河の下流の氷が融ける消耗域(しょうもういき)へと移動する。

どこからが消耗域かは気候によって決まる。中国やネパールの情報筋によると、近年登山家の遺体の発見が相次いでいるのは、気候変動が原因だという。エベレストでも気温は上昇しており、消耗域が始まる位置が上がり、高い場所で氷河が融け始めているのだ。

特に融けるのが早いのがクンブ氷河だ。ほかにも最終キャンプであるキャンプ4の近くからも発見が相次いでいて、この4年間で10人の遺体が回収された。この事実が突きつけるのは、エベレストにおいても危険と思えるほどの速さで氷河の融解が進んでいることだ。

編集=上田裕資

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