ビジネス

2022.07.26 17:00

ついに日本に上陸 時価総額世界3位の中国EVメーカーの勝算

BYD ジャパン 代表取締役社長 劉 学亮


強みはバッテリー技術


F:BYDはもともとバッテリーから出発した会社だ。やはりBYDのEVの強みはバッテリーにあると考えているか。
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:当社は03年に、倒産した中国の国営自動車メーカーの事業を引き継ぐ形で自動車事業に進出したが、当初からEVに進出することを考えていた。そして実際、2年後に最初のEVを開発した。当社の強みはバッテリーだけでなく、モーターやコントローラーなど主要な部品をすべて内製していることにある。現在は新型コロナウイルスの感染拡大でサプライチェーンが乱れているが、主要な部品の製造を内製していることで、供給をコントロールしやすいというメリットもある。

F:日本に導入する製品は新しいプラットフォームを採用したと聞いている。

:ミドルサイズSUV(多目的スポーツ車)の「ATTO 3」には新開発のEV専用プラットフォーム「eプラットフォーム3.0」を採用している。新開発のバッテリーを採用しているだけでなく、主要な部品をモジュール化し、幅広い車種に柔軟に適用できるように設計されている。この技術は、要望があれば、他社にも供給する用意がある。
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ATTO3の写真
ミドルサイズSUVのATTO3。485km(WLTC値)の航続距離を持つ。

F:コア技術は囲い込もうとする企業が多いが、BYDはオープンだということか。

:新しい産業は一企業では構築できない。技術は常に進化するものだ。当社も他社から学んできたし、もし当社が他社に提供できるものがあれば喜んで提供する。

EVは買うかどうかではなく、いつ買うかだ。


F:2022年2月にEVとFCV(燃料電池車)で日本市場に再参入した韓国ヒョンデは、まずEV1車種を日本市場に導入した。これに対し、BYDは最初から中型セダン、ミドルサイズSUV(多目的スポーツ車)、コンパクトハッチバック車の3車種をそろえる。最初から多くの車種を投入することはリスクではないか。

ドルフィンの写真
コンパクトハッチバックのDOLPHIN。名前のとおり内外観にイルカをイメージしたデザインを用いている。航続距離は471km(WLTC値)。

:日本市場にもEVが増えてきたが、意外と選択肢はまだ少ないのではないかと考えている。当社は消費者に多様な選択肢を提供したいと考えている。リスクではないかという質問があったが、ビジネスにリスクはつきものだ。BYDは長年、EVビジネスに携わってきたが、既にEVは「買うか、買わないか」ではなく「いつ買うか」という段階に入っていると考える。

SEALの写真
中型セダンのSEAL。今年5月に発表したばかりの最新モデル。航続距離は555km(欧州WLTP値)に達する。
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文=鶴原吉郎 写真=西川節子(人物)

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