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2022.07.26 08:30

ポジティブな変化に貢献するインパクト・スタートアップの本質とは

IMPACT START-UPS

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発売中の『Forbes JAPAN』2022年9月号の特集「インパクト100」では、世界的な新潮流とも言える「インパクト」という概念にフォーカスした。社会課題の解決と、事業成長・財務リターンを両立し、ポジティブな影響を社会に与えることを意図し、利益追求と公益利益の達成という二兎を追うことを目指す概念だ。

資本主義のアップデート、再構築の中心的役割を担い、これからの経済、社会の「新しい主役」となり「ポジティブな未来」をつくる、大企業、スタートアップ、投資家、資本市場など、世界で躍動し拡張している「インパクト・エコシステム」の全容を見ていく。特集は、その象徴的な存在とも言える、日本を代表する「インパクト・スタートアップ」8社が(五常・アンド・カンパニー、READYFOR、ライフイズテック、WOTA、ユニファ、ジーンクエスト、ALE、ヘラルボニー)一堂に介した座談会から始まる。WEB版では3回にわけて掲載していく。(1回目の記事はこちら


私たちは「インパクト・スタートアップ」


米良:ライフイズテックは、資金調達のときの契約書にミッションを明文化していますよね。

水野:14年のシリーズAラウンドのときは、投資契約書に「中高生を対象とした教育以外の事業は行わない」と明記したうえで投資家の皆さんの承認を得ました。ライフイズテックは、上場するときに収益性だけではなく事業がもたらす社会的なインパクトを示す「ソーシャルIPO」を目指しています。

その後はグローバル展開に本腰を入れたいし、学校の「OS」そのものをつくり変えることにも挑戦したい。私からすると、次世代にとっていいことをやろうとする時に資本主義を利用するのは当然のことです。

星:私は、我々が株式会社であることのメリットは3つあると思っています。インパクトをより大きくできること、スピード感、そして持続可能性です。例えば、ユニファやライフイズテックは資本があると全国の学校や保育施設、自治体などと連携しながらスピード感をもって事業に取り組みやすくなります。収益があると事業に投資ができてサステナビリティが上がるし、様々なファイナンス手段を利用して、新たな社会課題に取り組むことができる可能性も高まる。

松田:ヘラルボニーが手がけている障害者福祉の領域は厚労省の管轄となり、政府の助成金や補助金に頼る組織が一般的です。だからこそ、新しい景色を見たいのならあえて株式会社として挑戦するほうがカッコいいのではと、文登(副社長で双子の兄)と話し合って登記を決めました。

私たちは5年以内のIPOを目指しています。知的障害がある人たちをビジネスパートナーとして、彼らの才能や作品に依存している状態で上場までもっていき、彼らのアーティスト性が株価に反映されるようにしたい。企業としてというりも、「ヘラルボニー」を人格化させていくほうが面白いのではと思っています。社会的メッセージを強く打ち出す企業は、メッセージの内容によって株価が乱高下するリスクがあります。でもその分、むしろ株式会社としては大きな可能性があると考えています。


前田瑶介◎徳島県出身。東京大学工学部建築学科卒業、同大学院工学系研究科建築学専攻(修士課程)修了。高校では食品由来凝集剤の取得方法を、大学では都市インフラや途上国スラムの生活環境を、大学院では住宅設備(給排水衛生設備)を研究。ほか、デジタルアート制作会社にてセンサー開発・制御開発に従事。

水野:私たちの課題としてひとつあるのが、上場後も社会性と事業性を両立できる環境をどう担保するかです。今までは1対1の対話を通じて投資家との関係性を成立させてきましたが、上場して1対多数になると違う手法が必要になる。Bコープ(B Corporation)といったガバナンス認証制度や、優先株の仕組みを活用することも検討しています。
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文=瀬戸久美子 写真=小田駿一 スタイリング=堀口和貢 ヘアメイク=石川美幸 / 高松れい 制作 コーディネート=榛葉友輔(Empire Entertainment Japan) 美術=村山一也(目黒工芸) 照明=伊地知新 機材=アップルボックス

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