岡島:IPOをしてリターンが得られた場合、私はその資金を科学の発展のために使いたいです。水野さんがおっしゃるように、それを正当化できるように株主とコミュニケーションを取る必要がありますよね。
高橋:ジーンクエストが参画しているユーグレナグループは、会社の経済活動イコール社会課題の解決と定義しています。この考え方が前提の資本主義社会になると、経済が回るほど社会が良くなる。みんなこうなったらいいなと私は思います。
星:ユニファは今年の6月にESG経営の一環としてマテリアリティ(重要課題)を特定しました。ESGの取り組みが投資家に認められるのは、いまはまだ大企業止まりなのが現状です。でも、だからやらないというのは違う。社会課題解決型のスタートアップこそ、そこが本丸になるはず。
自社の取り組み姿勢を見せることで社員との目線合わせができますし、ユニファに興味をもってくれる人が増えるかもしれないし、私たちの後に続く人たちの参考にもなる。いま取り組むことが、未来への正しい選択である。それが、私たちが考える“Do the right things”です。
星 直人◎ユニファ取締役CFO。2007年にモルガン・スタンレー証券の投資銀行本部に入社し、東京とニューヨークで約12年間勤務。国内の経営統合案件や米国関連のクロスボーダーM&A案件を主導したほか、アクティビスト対応や企業価値向上策に関するアドバイザリー業務にも従事。19年にユニファへ参画し、財務戦略などを主導。
慎:社会的なインパクトを出すうえで最も重要なのは、大勢を巻き込んだムーブメントになることです。いろんな人たちがさまざまな側面からかかわるようになったときにインパクトは最大化されると思います。だからこそ、本当に付加価値が高い事業は何かを見いだして、大勢の仲間をつくれるようにすることが必要です。
前田:私たちが追求すべきインパクトは、3つのコストだと考えています。1つ目は、経済的なコスト。2つ目は健康に関するコスト。3つ目は環境負荷という意味でのコストです。経済的なコストに向き合い続けることは当然ですが、現状の水利用において健康や環境が犠牲になっていることが多くあります。3つのコストを、第三者に伝達可能にしたうえで、鼎立して下げられることが、私たちのインパクトであり価値ですね。