パーキンソン病の治療薬として大麻を研究するコロラドの企業

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米国コロラド州に拠点を置く、Day Three Labs(デイ・スリー・ラボ)が大麻をパーキンソン病の治療薬として利用するための同社の研究に、イスラエル政府の支援を受けた世界初の大麻技術インキュベーターが資金を投じると発表した。

Day Three labsは、新しい大麻製品の開発と商品化に特化したカンナビノイド(大麻の化学成分の総称)消費財原料メーカーで、コロラド州デンバーに本社を置き、大麻の研究が規制上米国よりはるかに容易なイスラエルに研究施設を有している。同社は、イスラエル政府から資金提供を受けて設立された大麻技術インキュベーター「CanNegev(キャンネゲブ)」プログラムの第1期を通過した唯一の企業だ。

Day Three Labsは、コンセプトかためやプロジェクトアイデアの開発を行ったCanNegevプログラムの第1期の完了を受け、第2期の研究と2022年9月に行われるイスラエル・イノベーション庁へのプレゼンテーションに向けてのデータ収集を開始するための資金を獲得した。Day Three Labsは、このプログラムを通じて、独自のアンロクト(Unlokt)技術によって生み出される大麻化合物を、パーキンソン病の症状に対する治療薬として研究する予定だ。CanNegevからの資金提供により、Day Three Labsはパーキンソン病の治療に最も効果的なカンナビノイドの組み合わせを見つけ出し、研究室から製品開発へと研究を進めることができるようになるだろう。

Day Three Labsの最高イノベーション責任者であるシモン・レヒト博士は、米国時間7月18日に発表した声明で「大麻には患者のパーキンソン病の症状を緩和する能力があることが研究で示されていますが、治療薬のための一貫性があり、信頼性が高く、再現性のある、カンナビノイドとテルペン(植物精油中の芳香成分)の正確な組み合わせを特定できた者はまだいません」と述べている。

全世界で1000万人が罹患しているパーキンソン病


パーキンソン病は、制御不能な動作や意図しない動作、体のこわばり、平衡感覚や協調運動の困難などを引き起こす神経疾患で、全世界で1000万人以上の患者がいると言われる。一般的な治療法には、パーキンソン病の症状を抑えるための薬物療法があるが、治療法は確立されていない。

2020年にJournal of Parkinson’s Diseaseに発表された研究では、2017年から大麻が治療薬として認可されたドイツでは、パーキンソン病患者の10%近くが症状の治療に大麻を使用していると報告されている。しかし、大麻の品種やその他の大麻製品は、認可されたものから違法なものまで、ほぼ無尽蔵にあるため、一貫して緩和を得られる処方を選ぶことは困難だ。

「大麻草から得られるカンナビノイドとテルペンの組み合わせは1兆通り以上考えられますが、パーキンソン病の治療に最適な組み合わせはほんのひと握りです」とレヒト博士は述べる。そして「私たちの使命は、正しい組み合わせを発見し、すべての有効成分が正しい方法で相互作用するように正確な比率を特定することです。そうすれば、アンロクト技術を活用して、カンナビノイドとテルペンの正確な組み合わせを、迅速、安全かつ効果的に患者さんに届けることができる製品を作ることができます」と語る。
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翻訳=酒匂寛

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