安倍晋三元首相が死去 経済への影響、エコノミストらの受け止めは

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奈良市で参議院議員選挙の街頭演説中に銃撃された自民党・安倍晋三元首相が7月8日、搬送先の病院で亡くなった。

安倍元首相は同日午前、拳銃で撃たれ救急車で搬送されたが、心肺停止状態だった。これを受け、為替市場の円相場は1ドル=135円台前半に上昇。

市場に動揺が広がり、今後の経済への影響も懸念される。アナリストなど金融関係者の受け止めは──


「アベノミクスの終わり」という印象が影落とす可能性も


民主主義の根幹を揺るがすテロが選挙期間に起きた衝撃は大きい。海外から見た日本の魅力に「治安の良さ」が挙げられるからだ。また、円高で苦しむ日本経済を復活させた「アベノミクスが終わった」という印象を与え、影を落とす可能性もある。

安倍政権の誕生によって「多様性」を認める社会が根づいた。その1つが、スタートアップ企業の成長支援の環境構築だ。2013年の「日本再興戦略」のなかでリスクマネーの供給が明記され、日本のスタートアップ環境は大きく変わった。今回の銃撃によって、多様性の社会から窮屈な画一的な社会に逆戻りしないことを願う。

ここまで、日本経済の支柱であった安倍元首相への銃撃は絶対に許せないものだ。暴力的行為はいかなる理由であっても許されず、強く非難する。 

「アベノミクス」と共にあった私にとっては、まるで生みの親を失ったかのような悲しみだ。ここまで、日本経済を支えてきた支柱を急に失った苦しみは耐えがたいものがある。ここに安倍元首相に深く感謝するとともに、故人のご功績を偲び、謹んで哀悼の意を表す。

経済アナリスト 馬渕磨理子

西側諸国に打撃


残念ながら安倍元首相が命を落としてしまった。これは、中長期的なところでは、米共和党はじめ、重要な海外とのパイプであった政治家ということで、打撃が出るだろう。

また、アベノミクスの代名詞といえば、「黒田バズーカ」含めた 金融政策だった。

黒田総裁の任期となる2023年4月を待たずにして、今後、岸田首相の色が出てくる可能性もある。それは、金利を低下させ、「円安」という方向性が変わるかもしれない。そうなると、経済への影響は大きいだろう。

海外投資家から見ると、岸田首相の影響力に大きな影響力をもっていた安倍氏がいなくなるのは、西側諸国にとっては打撃。ただ、参院選の結果によっては、自民が圧勝すれば、政治が安定するという意味で、岸田政権が政策を更にしやすくなりポジティブに評価されるだろう。

外資系金融関係者

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