安倍元首相銃撃への各界からのコメント「マクロ安定化政策に対して逆風」

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7月8日午前11時半ごろ、奈良市内での選挙演説中、凶弾に倒れ亡くなった安倍晋三元首相。

突然の出来事に対して各界の識者からコメントが寄せられている。


逆風となる可能性


グローバルスタンダードなマクロ安定化政策(積極的な金融財政政策の連携)に対して逆風となる可能性があると思います。

第一生命経済研究所 経済調査部 首席エコノミスト 永濱利廣


日本経済が大きく変わるような影響はない


安倍元首相が凶弾に倒れるというニュースは、ショッキングであり、それゆえ午前中の取引を大幅高で終えた株式市場は午後から値を消す展開となった。しかし、それはあくまで心理的な要因が大きいだろう。

アベノミクスを主導した安倍元総理は海外での知名度も高く、また現在も政治の世界に一定の影響力を持つ存在ではあるが、仮に万が一の状況になったとしても日本経済が大きく変わるような影響はないだろう。市場の反応は一時的なものにとどまる公算が高い。

マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木隆

選挙結果に影響を及ぼす可能性は否めない


「安倍元首相、街頭演説中に銃撃」との報にて、ドル円は下落した。アベノミクスで金融緩和&円安を後押ししてきた経緯を持つだけに、「ブレーキがかかる」との声も一部で聞こえてくるが、基本的に大きな影響はないだろう。リスク回避姿勢に振れたことで、積み上がっていたドル買い・円売りポジションに巻き戻しが発生したと見るのが妥当だ。

もっとも参院選直前ということもあり、これが選挙結果に影響を及ぼす可能性は否めない。選挙は水ものであり、蓋を開けるまではわからないものだが、一般的には同情票が集まりやすいとされている。そうなると岸田長期政権への期待はさらに高まり、主に外国人投資家に好感される可能性も高まってくる。

「米金融政策の行方」と「景気後退懸念」の2大テーマに揺れ動いてきたマーケットだが、ここにきて「欧州経済の失速懸念」「ジョンソン英首相辞任」そして「安倍持首相銃撃」と異なる事象がテーマになり始めた。積み上がったポジションを、一旦減らす時期に差しかかっているのかもしれない。

マネーパートナーズ チーフアナリスト 武市佳史

Forbes JAPAN編集部

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