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2022.06.23 12:30

100社から選ばれた次世代起業家がピッチ 3名がアワード受賞 #RISINGSTAR2022

撮影=小田駿一

撮影=小田駿一

創業3年目以内のスタートアップ起業家・経営陣を応援するコミュニティプロジェクト「RISING STAR COMMUNITY 2022」のオンラインピッチイベントが、6月16日に開催された。4度目となる今年は、約100社から事前審査に通過した7人の次世代起業家たちがステージに登壇。RISING STAR AWARD 2022の授賞を目指し事業のプレゼンを行った。

起業家たちのピッチを受け審査を担当したのは、Forbes JAPANが選定した「日本で最も影響力のあるベンチャー投資家ランキング」で2017年に1位を獲得したインキュベイトファンド・村田祐介、同タイトルで2022年に1位を獲得した、ジャフコ グループ・藤井淳史、そしてゴールドマンサックス証券元副会長で、2021年にESGを重視するファンドを立ち上げたMPower Partners・キャシー松井の3名だ。

本ピッチイベントでは、エネルギー、医療、建設DX、ヘルスケア×食品、OMO、Eコマース、社内エンゲージメントの各領域で独自ビジネスを展開する登壇者たちがそれぞれピッチを繰り広げた。

まずはRISING STAR AWARD 2022を受賞した3名の起業家を紹介したい。


EX-Fusion 松尾一輝 レーザー核融合商用炉を開発


EX-Fusion 松尾一輝
EX-Fusion 代表 松尾一輝

光技術で“エネルギー革命”を起こし、真に持続可能な社会の基盤をつくることをビジョンに掲げるEX-Fusionでは、化石燃料に依存しない究極のエネルギーを生む「レーザー核融合商用炉」の実現を目指す。

レーザー核融合発電は、レーザーを使って莫大な熱量を生み出す技術でありながら二酸化炭素を排出しないという環境フレンドリーな特徴を持つ。また原子力発電とはまったく異なる反応を利用するため、暴走リスクもないとされている。大阪大学および松尾自身の研究成果にさまざまな要素技術の研究者・専門家の知見を組み合わせることで、エネルギーイノベーションのみならず、レーザー技術そのものの商業応用を目指している。

​​なおレーザー核融合商用炉は一基あたり約4000億円の投資が必要と試算しており、さまざまな要素技術を部分的にマネタイズすることで資金調達を図るとしている。

アワードでは世界最先端の技術力を強みとして、脱炭素に繋がる夢のエネルギーの開発に果敢に挑んでいる点、また長期的な時間軸を意識して事業を展開している点が評価された。松尾は「夢を夢で終わらせないのが私の仕事。地道に着々と事業を進めて行きたい」と力強く語った。

Yuimedi グライムス英美里 医療データ活用促進のプラットフォーム


Yuimedi CEO グライムス 英美里
Yuimedi CEO グライムス英美里

データクレンジング(データの欠損や重複を検出し、削除・修正すること)やデータマート(組織が持つ全データから、目的に応じて抽出したデータベース)の設計といった前処理を自動化し、医療データの利活用を促進するプラットフォームを開発・提供している。

現在、医療データはフォーマットも保存場所もバラバラであるため利活用が進まず、利用者にとってもアクセシビリティが悪いという課題を抱えている。同社では非エンジニアや非医療従事者でも簡単に使えるノーコードのクレンジングソフトウェアを提供。将来的にプラットフォームを拡充することで、新しい治療薬の開発やコスト分析などを促進し医療費削減を目指すとしている。

関連市場の規模は2027年に8000億円に達する見通し。ベータ版で累計30万以上のデータクレンジングを行っており1年後に正式版を公開予定だ。

授賞理由としては、医療データを繋ぐという社会的意義の大きさに加え、製薬会社をはじめとした多くのステークホルダーに事業対象を広げている点が挙げられた。

ローカスブルー 宮谷聡 3Dデータ処理で建設業界のDX推進


ローカスブルー 代表 宮谷聡
ローカスブルー 代表 宮谷聡

建設業界の誰もが簡単に3Dデータを処理できるプラットフォーム「ScanX」を提供する。建設業界では過去20年で人材が27%も減少。深刻な人手不足に悩まされるなか、課題解決に向け、遠隔で状況を確認・共有できる3Dデータを利活用していく機運が高まっている。

スマートフォンやドローン、地上型のレーザースキャナーなどが登場し性能向上を果たすことで、データ取得のための費用は低下傾向にある一方、取得した3Dデータを処理・加工するため専用ソフトは高額なまま。そこで同社ではScanXを月額3万円という廉価なサブスクリプションモデルで提供することで、中小規模の事業社を含めた建設業界全体のDXをサポートする。

リリースから2年で全国40都道府県、日本を含めた4カ国にユーザーを抱える。TAM(獲得可能な最大市場規模)は約1600億円を見込む。

審査員からは、建設テックという大きな流れのなかで、いまだ解決されていないニーズが多いテーマに積極的に挑んでいる点が評価された。宮谷は「授賞をきっかけに、日本国内のみならず、世界中の建設現場の課題を3Dデータで解決していきたい」と意気込みを語った。
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文=河鐘基(Forbes JAPAN オフィシャルコラムニスト) 編集=露原直人 撮影=小田駿一

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