インドの輸入量は、今年1月にはゼロだったにもかかわらず、5月には2800万バレルに急増した。ロシアが輸出する原油の2割近くは、インド向けとなっている。
CREAによると、これは大きな問題だ。インドで精製された石油製品の多くは欧米各国に輸出されている。各国がロシアに課している制裁にとって、役立つものではない。
ほかにもう一つ、より深刻な問題がある。海上輸送されるロシア産原油を運ぶタンカーだ。CREAによれば、4〜5月にロシアを出港したタンカーの70%近くは、EU、英国、ノルウェー、ギリシャの企業が所有するものだった。なかでもギリシャ企業のタンカーが輸送した原油は、全体の40%以上を占めていたという。
そのほかCREAは、侵攻開始から2カ月の間に、ロシアから化石燃料を購入した大企業が23社にのぼったことも指摘している。そのうち15社が、5月の時点でも購入を継続していたという。
この中には、エクソン(米)、シェル(英)、トタル(仏)、レプソル(スペイン)、ネステ(フィンランド)、オーレン(ポーランド)など、各国の大手企業が含まれている。
エネルギー価格の高騰と、西側諸国がウクライナのために目指す対ロシア制裁の効果は、せめぎ合いを続けている。ガソリン代を引き下げるため、増産を目指す利害関係者がいる一方、現状を風力や太陽光、水力といった再生可能エネルギーとそれらを使う電気自動車の普及促進に向けた好機と捉える人たちもいる。実際に起きるのはこのどちらか、明らかになるのは、まだ先のことになるだろう。