経済・社会

2022.06.17 20:00

サル痘は性感染症か、WHOが調査 欧州に定着のリスクにも「現実味」

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世界保健機関(WHO)は、サル痘ウイルスが欧州に定着する“現実的なリスク”があると警告している。ハンス・クルーゲ欧州地域事務局長は、現在各国で報告されている感染の規模からみて、サル痘はこれまで流行する地域とされていなかった欧州などにも、「定着する危険性がある」と警告している。

今年5月以降、サル痘感染者が最も増加しているのは、欧州だ。“震源地”であるこの地域では25カ国で、世界全体の85%に当たる1500人以上の感染が確認されている。

WHOはまた、今年初め以降、39カ国で1600人以上の感染が報告され、疑い例が1500人にのぼっていることを明らかにしている。クルーゲ事務局長は各国政府に対し、感染を抑えるため監視を強化し、高いリスクにさらされているコミュニティーとの関与を強め、国際的な協力を強化するよう呼び掛けている。

さらにクルーゲ事務局長は、「ウイルスの拡散を許す期間が長くなればなるほど、その地域に定着する危険性が高まる」と警鐘を鳴らしている。

そのほか事務局長は、「特定の人たちに烙印を押すようなものの言い方は、公衆衛生に関する問題への対応にマイナス影響を与え得る」とも警告している。これまでに欧州で確認されている感染者の大半は、男性の同性愛者だ。だが、「特定のグループ内だけで感染が広がっているわけではない」という。

一方、WHOはサル痘に対する集団予防接種の実施を推奨しているわけはなく、必要性を主張しているわけでもない。今夏に開催が予定されている音楽フェスティバルや「プライド・パレード」などの大規模イベントについても、サル痘の流行を理由に中止する必要はないとの見方だ。

欧州のプライドイベントを運営する団体の責任者は、こうしたWHOの対応を支持。この夏に実施する予定の750のイベントは、性的マイノリティの人たちが自らの身を守るために必要な情報を提供するための、良い機会になると述べている。
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編集=木内涼子

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