フォーブス編集部では、トランプ氏および国立公文書館に連絡を取り、コメントを求めている。
トランプ大統領がサウジアラビアの首都リヤドを2017年に公式訪問した際、サウジアラビア政府はトランプ政権に、数十点にのぼる豪華なギフトを贈った。だが、英タイムズ紙の2021年の報道によると、トランプ政権の高官に贈られた物品のうち、刀や短剣、毛皮の一部は、国務省のリストに掲載されていないという。
加えて、2019年に日本政府から当時のマイク・ポンペオ国務長官に贈られた5800ドル相当のウイスキーの所在がわからなくなっていることを、2021年8月になって国務省が明らかにした(ポンペオ氏の弁護士はフォーブスの取材に対し、同氏はウイスキーを受け取った記憶がなく、その所在については把握していないと回答した)。
国務省の監察官室は2021年11月付けの報告書で、件のウイスキーに加え、国務省のある職員に贈られた560ドル相当の記念金貨の行方も突き止めることができなかったとしている。そしてその要因として、ずさんな記録管理や、贈答品保管庫の警備体制が手薄だった点を挙げている。
トランプ氏は、大統領としての任期中、自身および家族の経営する事業が外国政府から利益を得ているという告発にたびたびさらされた。これにより、合衆国憲法の中でもこれまでは知名度の低かった報酬条項について、公の場での議論がにわかに活発になった。
トランプ氏は、自身の企業トランプ・オーガナイゼーションがワシントンD.C.で経営するホテルを訪ねた外国の高官や、自身の会社と事業を行った外国の高官を利用して不当な利益を上げたとの疑いで、これまでに少なくとも3件の訴訟に直面した。しかしながら、裁判所は今のところ、この問題について最終的な判断を示していない。
連邦最高裁は、報酬条項違反を申し立てた2件の訴訟については、トランプ大統領の退任後に、任期が終わったことで現実的な意味がなくなったとして訴えを破棄した。また、民主党の議員グループが起こした3つ目の訴訟は、訴訟当事者としての適格性に欠けることを理由に、2020年に控訴裁判所で却下されている。
トランプ氏は過去にも、政府の所有物の扱いに関して厳しい批判にさらされたことがある。国立公文書館は2021年に入り、トランプ政権時代の連邦政府に関する15箱分の記録文書を回収したことを明らかにした。これは、本来であれば任期終了をもって国立公文書館に移送されるべきものだったが、実際には前大統領がフロリダに所有する別荘「マー・ア・ラゴ」に保管されていたという。