経済・社会

2022.06.17 09:30

各国政府からのトランプ前政権への贈答品、一部が所在不明に

トランプ前米大統領(Photo by Chip Somodevilla / Getty Images)

民主党所属の議員グループが、トランプ政権が外国政府から受け取った贈答品を適正に追跡管理していたか否かをめぐり、調査を開始した。これは、トランプ政権時代の贈答品に関する記録がずさんで、外国から贈られた高価なギフトのうち少なくとも2点(その一つは、5000ドル以上の価値があるウイスキーのボトル)が所在不明になっているとの報道を受けたものだ。

連邦下院の監視・政府改革委員会のキャロライン・マロニー委員長(民主党、ニューヨーク州選出)は、6月7日に公開された書簡の中で、米国立公文書館(NARA)に対し、2020年1月1日から、ドナルド・トランプ前大統領が退任した2021年1月20日までの約1年間について、外国からの贈答品に関するやり取りの記録があれば、すべて提出するよう要請した。

ニューヨーク・タイムズ紙の報道によれば、2020年の1年間、トランプ時代のホワイトハウスから国務省が「高額ギフトリスト」の報告を一度も受け取っていない点をマロニー委員長は指摘している。一方で、この期間中にはスイスやインドなどの国々がトランプ大統領に贈り物をした形跡があるという。

外国の政府は定期的に米国の外交官や高官と贈答品を交換しているが、贈られた物品1点の価格が415ドルを超えた場合には、これは直接その品を受け取った職員のものではなく、米国政府の所有物とみなされる。国務省は、外国からの高価なギフトすべてを掲載したリストを1年に1度公開するよう義務付けられているが、2021年にトランプ氏がホワイトハウスを後にしたのち、このリストに大きな空白があることが明らかになった。

マロニー委員長は、トランプ政権時代に外国から贈られた多くの物品について、送り主と受け取り手に関する記録が不完全であることを示す、国務省の公開文書の存在にも触れた。さらに、2022年5月に監視委員会に証言した匿名の国務省職員の発言を引用しつつ、トランプ前大統領がホワイトハウスを去る時点まで、連邦政府の贈答品保管庫は「完全な無秩序状態」に陥っていたと指摘した。

マロニー委員長は、高価な贈答品に関する記録が不完全だったり欠けていたりする状況は、「外国政府からトランプ大統領に対して不適切な影響力が行使されていた可能性に関して、懸念を呼び起こすものだ」と主張した。さらに同委員長は、今回の調査により、合衆国憲法の「報酬条項」違反が明るみに出る可能性にも言及した。この条項は、大統領は外国からのいかなる贈与も受けてはならないと定めている。

マロニー委員長は今回の調査について、記録の管理に関してより強制力のある法律が必要かどうかを、議員が見極めるのにも役立つ可能性があると指摘した。
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翻訳=長谷睦/ガリレオ

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