あなたが思う以上に、人はフィードバックを求めている

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アメリカ心理学会の「Journal of Personality and Social Psychology(パーソナリティと社会心理学誌)」に公表されたこの研究は、建設的なフィードバックが「学習とパフォーマンスを支える手段になる」と結論付けています。

技術の急増に伴い、仕事の世界は急速に変化しています。世界経済フォーラムの「仕事の未来レポート2020」は、そうした仕事の世界への適応を支援する上で従業員エンゲージメントの重要性を強調しています。

ハーバード大学の研究チームによると、これまでの研究において、ほとんどの人が建設的なフィードバックをしてもらいたいと考えていることが分かっています。それではなぜ、人々は他者にフィードバックを与えることに消極的なのでしょうか。その主な原因は、過去に動揺するようなフィードバックをもらった嫌な経験があるためだと、研究チームは述べています。

フィードバックによって好ましくない影響を与えうることを恐れると、フィードバックを与えることにますます消極的になることも明らかになりました。親しい間柄であるかにかかわらず、人間関係を損なうことへの懸念が生じるからです。

「例えば、プレゼン資料のタイプミスを指摘したり、面接の前に採用候補者にシャツの汚れを教えてあげたりといった具合に、すぐさま役立つ建設的なフィードバックを他者に与える機会は頻繁にあります」と、アビ・エスバー氏は述べています。

「この研究から、人々が総じてフィードバックを求める他者の気持ちを常に過小評価していることが明らかになりました。このことは、フィードバックをしてもらうことを望む側に有害な結果をもたらす可能性があります」と、アビ・エスバー氏は付け加えています。人々は、自分の与える情報が他者を助ける可能性があることを十分に認識していないだけなのです。

アビ・エスバー氏はさらに次のようにコメントしています。「フィードバックを与えることにためらいを感じても、実行することをお勧めします。相手の立場に立って想像し、自分だったらフィードバックが欲しいかどうかをちょっとだけ自問してみてください。きっと伝えて欲しいと思うでしょう」。

共著者のフランチェスカ・ジーノ氏は付け加えています。「次に誰かが単語の発音を間違えているのを耳にしたり、シャツに汚れがあるのを見つけたり、スライドにタイプミスがあるのに気づいたりしたら、ぜひ指摘してあげてください。相手はあなたが思っている以上に、そうしたフィードバックをしてもらいたいと思っているはずです」。

(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)

連載:世界が直面する課題の解決方法
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文=Douglas Broom, Senior Writer, Formative Content

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