ライフスタイル

2022.06.13 12:30

日本で治験が始まったCBD製剤「エピディオレックス」とは?

野崎千尋(左)と柴田耕佑(右)


ドラッグに対して、よりフラットな価値観を



Photo by ENO
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──カンナビノイドの話が出たので流れでお聞きしますが、なぜ海外では多くの研究者がカンナビノイドとオピオイドの研究を同時に行っているのでしょうか?

どちらも神経系に作用し、意識や行動などに変化を起こすからです。ほとんどの場合、依存性のある薬物の研究はそこから依存性を取り除くことが目的になっています。それが実現できれば、例えば強烈な痛みをしっかり抑えたいといったときなどにとても役立ちますよね。

──オピオイドによるオーバードーズはアメリカで問題になっていますよね。
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はい。アメリカでは医師に「市販の痛み止めでは効かない」と訴えると、すぐオピオイドが処方されがちで、この簡単に手に入ってしまう、ということが乱用の一因となっています。だから、研究者たちはオピオイドから依存性を取り除けないかと研究しているのです。

──そして、すぐに依存症は治らないためオピオイドよりも依存性の低いCBDに、ハームリダクションの考えから注目が集まり始めました。今やアメリカだけでなくヨーロッパの国々や韓国でもエピディオレックスは使われていますが、そもそも日本ではあまりいいイメージがないかもしれません。これはCBDや大麻などに対する偏見の影響だと思うのですが、こうしたことはなぜ起きているのでしょうか?

日本に暮らしている人の多くは依存症に対して強い嫌悪感を覚えるようです。これは様々な要因が影響しているため、簡単に語ることはできません。その前提があった上でひとつの例をあげると、日常生活において他人を気にするかどうかは依存症に対するフォビアに関わっているのではないかと感じています。

欧米の文化は個人主義が強いです。周りの人が何をしていようとも、自分に害がない限りは気にしない。誰かがオピオイドを使っていても、あるいはオピオイドを処方されても、必要であるならば、として特に嫌悪感を覚えることはないのです。

対して、日本の場合は「オピオイドを使って我を失ったらどうしよう?」と考える傾向が強いそうです。また、必要以上に「我を失った人に自分が害されたらどうしよう?」と思ってしまうと言います。

──日本の人はアルコール飲料の飲み過ぎでバタバタと人が倒れているのを頻繁に見ているにもかかわらず、オピオイドなどによるオーバードーズばかりを気にしているのは不思議ですよね。

そうですね。こうした価値観は短期的に変えるのは難しいので、中・長期的に変化を起こさなければいけません。私は「理解はしてほしいけど、要らない興味は持ってほしくない」と、よく考えています。

ちゃんと薬物などを理解していないにもかかわらず、偏見混じりで興味を持たれてしまうのは非常に困ります。しっかりとメリットとデメリットを把握して、よりフラットな価値観を持ってほしいですね。
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文=柴田耕佑

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