社内外に出す求人が対象で、2023年1月までにすべての役職について実施する。同社が本社を置くワシントン州では同月1日、従業員15人以上の企業に対し、全ての求人で給与の幅の公表を義務付ける新法が施行される予定だ。新法の適用範囲は同州内に限られるが、マイクロソフトの新方針は全米が対象となる。
同社は大企業の雇用慣行を先導する存在とみなされており、他の企業もこれに追従するとみられる。ただ、これまで長く非公開だった給与情報の公開を躊躇する企業は多く、他の大企業に広がるには時間がかかるかもしれない。給与情報の開示義務付けを決めた地域は6つあるが、中には施行まで数か月かかるところもある。ニューヨーク市では、企業の抵抗により施行が延期された。
だが、被雇用者側の給与情報開示に対する期待は高まっており、こうした法律を制定する地域は増えている。コロラド州ではすでに新法が成立。カリフォルニアとニューヨークの両州でも、同様の法案が検討されている。企業は今後、こうした流れに抵抗せず、受け入れることを選ぶかもしれない。
賃金問題に詳しい専門家は以前から、州ごとに異なる慣行への個別対応を企業は嫌うだろうと予想してきた。そうなれば、人事部の採用活動が煩雑化するのみならず、開示義務がある州とない州で被雇用者が得られる情報に不平等が生じてしまうからだ。
そのため、給与体系の見直しと賃金の公平化をすでに実施している企業では、全米を対象とした方針変更が早い段階から進むとみられている。一方、そうした措置を講じてこなかった企業での導入は遅れるだろう。