iPadのマルチタスク操作がスムーズになる
続いて、アップルのソフトウェアエンジニアリング担当シニアバイスプレジデントであるクレイグ・フェデリギ氏が「iPadOS 16のステージマネージャ」をオンライン上のステージで紹介。macOSとユーザーインターフェースのデザインや使い勝手が変わることのない新機能についてデモンストレーションを披露してみせた。
従来のiPadOSから、ひとつのアクティブウィンドウを全画面表示にするか、またはSlide Over、Split Viewといった機能を使って画面を分割表示にして、同時に複数のアプリによるマルチタスキングを行うこともできる。
中央のメインウィンドウに現在アクティブに作業を行うアプリのタスクを表示。グルーピングした各アプリのウィンドサイズは任意に調整可能。左側には直近に立ち上げたアプリが縦に並んで表示され、選択するとアクティブウィンドウと切り換わる
ステージマネージャの場合は、ウィンドウのサイズも自由に変えられるようになるところが、おそらく多くのiPadユーザーにとって最も画期的で便利に感じられるのではないか。アクティブウィンドウをクリックしてすばやく切り替えたり、ウィンドウをグループ化するといったmacOSに近いユーザーインターフェースのカスタマイズも可能になる。
さらにiPadを外部ディスプレイにケーブルでつなぐと、ステージマネージャによりiPadとディスプレイのそれぞれに最大4つずつのアプリを表示して、広々としたワークスペースで作業に集中できる。
iPadを外部ケーブルに接続。ステージマネジャを活用しながらマルチタスクをより快適にこなせる
デベロッパのアイデアがステージマネージャを輝かせる
WWDCに注目した多くのデベロッパたちはいま、従来のiPadによるマルチタスク操作の限界を押し広げて、新たな機能やサービスが創造できるステージマネージャーの可能性にときめいているはずだ。アップルが各OSに設ける新しい機能は、言うならばデベロッパたちがそこに新しいアイデアを活かしたアプリやサービスを盛り込むための「器」だからだ。
ステージマネージャ自体はアプリの互換性を気にすることなく使える機能だが、その可能性をフルに活かしたデベロッパによる「人気のアプリ」が秋以降に生まれることを期待したい。
Apple Parkで開催されたWWDC初日の基調講演。1000人を超えるデベロッパたちが集まり、発表に熱い視線を送った
一方、iPadOSのステージマネージャには、「Apple M1チップ」を搭載する機種であることというiPadOS 16の動作環境よりも厳しい条件がいてくる。これを満たせるのは現状、M1チップを搭載したiPad ProとiPad Airに限られる。今秋にiPadOS 16の提供が開始される頃、iPad mini、スタンダードモデルのiPadがM1搭載にアップデートされるのか注目したい。