フランスのバカンスと雪山 スープを通して「味嗜み」を考える

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フランスでは、権利として年間5週間の有給休暇があります。一般的に“バカンス”と呼ばれるもので、休み方は人それぞれですが、だいたい春に1週間、夏に2〜3週間、冬に1週間といった感じでしょうか。

特に冬は“スキー休み”とも言われ、2月に入るとすぐ、国を3つのエリアに分けて、1週間ごと時期をずらして休みを取ります。

これは集中するのを避けるための配慮ですが、日本はゴールデンウィークやシルバーウィークなどの繁忙期に観光地やリゾート地が混雑するので、エリアを分ける政策は、観光地のためにも旅行者のためにもぜひ取り入れて欲しいなと思います。


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スキー休みでは、スキーやスノボーをするだけでなく、雪山でハイキングを楽しんだりのんびりしたり……ホテルやアパート、シャレーなどを長期で借りる家族が多いです。子供の頃からこれが毎年恒例となれば、やはり皆、雪山での過ごし方にも慣れていて、これぞヨーロッパの文化だなと感じます。

日本の休みは、仕事で疲れた身体や心を労わるために、温泉や食事で癒されることを求める傾向にあると思いますが、ヨーロッパで休みと言えば、山や海に行って積極的に自然と戯れることを求める人がほとんど。前者は「休み=観光、休暇」、後者は「休み=リゾート、遊び」という違いでしょうか。

アクティビティは年齢によって違えど、自然に触れて体を動かし、そのエネルギーを取り込むという発想が幼少期から育まれているのを見ると、「自然に囲まれて四季が豊か」と言われる日本人よりも、彼らの方が向き合い方がうまいのかなと思います。バカンスのない日本では、日々の忙しい生活に追われて、自然に目を向ける時間が足りず、それがもしかしたら自然環境への意識の低さにも繋がっているかもしれません。

雪山のスープに健康のヒントあり


今年、そのスキー休みで、ある気づきがありました。雪山での食といえば、やはりスープです。どこのお店へ行っても、必ずメニューにのっています。雪山で疲れた身体、冷え切った身体を芯から温めてくれる滋養溢れる「ボーンブロス」、または栄養価の高い冬野菜や根菜の「ポタージュ」は大人気です。
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文=松嶋啓介

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