残念ながら、売上や利用者数、カスタマーレビューといったものは、時に危険な勘違いを招く。確かに、売上や利用者数から、ブランドや商品の短期的な健全性を、ある程度は把握できるだろう。だが、これらが横ばいや右肩上がりだからといって、顧客が製品やサービスを気に入っているとは限らない。
オープンマインド・ストラテジー(Open Mind Strategy)のロビン・ハフィッツ(Robin Hafitz)CEOは、カスタマーブランドリサーチの専門家だ。マーケティング責任者やCEOは、同氏の洞察に耳を傾け、自分たちが顧客について本当に理解しているのかどうか、考え直す必要があるだろう。
「かなりの数の顧客が、単なる利便性や、染みついた習慣、あるいは価格を基準に、商品を買ったり使ったりしている」と、ハフィッツは指摘する。「利便性、習慣、価格を理由に再購入している顧客集団というものは、もっと気にいったものや、単純にもっと便利な、あるいは安価なものが登場すれば、そちらに流れるリスクが高い。また、人は、本心では嫌っているものであっても消費する。例えば、ある種の番組やアプリは、『ヘイト・ウォッチング(嫌いなのに見てしまう、使ってしまう)』の対象だ」
オープンマインド・ストラテジーは、メディアやコンテンツの消費習慣に関して膨大なリサーチを実施している。ハフィッツは、カスタマーレビューだけに依拠することについても、強く警鐘を鳴らす。
「多くの企業は、レビューや自社リサーチの結果を見て、顧客がブランドについて考えていることを把握しようとする。だが、レビュー(およびソーシャルメディアでのコメント)に関して肝に銘じておくべきは、こうした目に入るインプットは、けっして顧客層全体を代表するサンプルではないことだ」とハフィッツは述べる。
「レビューを投稿する可能性が最も高いのは、ポジティブであれネガティブであれ、自分の意見を伝えることに最も積極的な人々だ。レビュアーや投稿者は、他の顧客に対して大きな影響を及ぼしうるが、彼らの意見は顧客全体を代表するものではない。彼らが、良かれ悪しかれ商品に影響を与えるのは間違いないが、彼らの意見から、商品が実際にどう受け止められているかを知ることはできない」