もちろん、多くの企業は顧客調査をおこなう。しかし、こうした調査は往々にして社内のマーケティングチームが作成しており、顧客の声が反映される形になっていないことが多い。
ハフィッツは、顧客調査を作成する前に、フォーカスグループや個人を対象にインタビューを実施することが効果的だと述べた。オープンマインド・ストラテジーでは、量的調査と質的調査の両方を実施している。
「顧客が考えていることを知るのに最適な方法は、彼らに、自分の言葉で商品について語ってもらう機会を提供することだ。その際には、じっくりと意見を引き出し、率直な意見を尊重する姿勢を見せ、言語的・非言語的な手がかりに十分な注意を払う聞き手を用意することが重要だ」とハフィッツは述べる。「我々はしばしば、顧客調査を設計する前に質的リサーチをおこなうが、これは調査に『人間らしい』トーンをもたせ、顧客にとって、本当に重要な側面をカバーするためだ」
顧客の本音を聞き出したとしても、ひとつかふたつの結論に飛びついて、そこから掘り下げることをおろそかにしてしまうリスクがある。「確証バイアスを侮ってはいけない。人はしばしば、見たいものだけを見て、ブランドの健全性に極めて重要な、別の問題を放置してしまう」と、ハフィッツは指摘する。
その上、多くの組織はデータを十分に分析できていない。「顧客がおおむね商品に満足しているとか、ロイヤルティが高く夢中になっているとかといったことは、企業も把握しているだろう。だが、こうした数字の内情についてはどうだろうか? 女性には気に入られていても、男性には嫌われているのではないか? 肯定的に評価するオーディエンスの中心は、想定している年齢層から外れた層ではないか? 我々の調査によれば、商品へのエンゲージメントの方法や理由に関する世代間格差は、かつてないほど顕著になっている」
CEOやマーケティング責任者は、表面的な調査結果だけではなく、より深い事柄についても目を向ける必要がある。つまり、「顧客が何を考えているか」だけでなく、「誰が、どう考えているのか」を分析することや、現在の顧客層が、自社が将来的に必要とする、将来的に欲しい顧客層と一致しているか、といったことを認識する必要があるのだ。