厚生労働省は悪なのか
大麻関連の話を進めると、決まって厚生労働省が「諸悪の根源」のような言われ方をよくされます。しかし、実際に監視指導麻薬対策課(通称・監麻課)の方と話をしてみると異なった印象を受けます。
ここで、厚生労働省の「監麻課」と「麻薬取締部(マトリ)」とを分けて考える必要があります。今回の法改正の議論において、マトリや警察など取り締まりを実行する側は、その性質から法改正に関与していません。もちろん使用罪創設にあたっては、司法や取り締まり側から創設をするといった声はあったのかもしれませんが、厚労省全体としては、そこは議論とは分けてクールに見ているように感じます。マトリや警察は法の下で実運用を行う存在で、法に意見を言う立場でないからです。
今回の法改正の議論については行政機関である監麻課が担当しており、彼らは海外の状況をリサーチしたり、アメリカの状況の調査など、かなり熱心に大麻について勉強されているようです。その知識は私が言うのもおこがましいですが、正直かなりのものです。官僚の方はそもそも国家資格者であり、勉強をすることのスペシャリストです。とんでもなく勉強家であり研究熱心なのです。
また、これまで開かれたような「検討会」・「HHCを規制した部会」・「小委員会」のメンバーは化学者や医療関係の有識者で構成されています。彼らは「専門家」であり、我々が議論において太刀打ちできない程の勉強と研究、そして経験を持っているのです。私はロビイングにおいて、厚労省に対して提言書を提出する立場にあります。これは、時間をかけ地道に築き上げ多くの方にご協力ご支援を賜ることでできた結果です。そして提言書についても、互いの立場を考え、あくまで現実路線で提言させていただいています。そうでなければ、提言をできる立場を構築することは実現できなかったと思っています。
厚労省や専門の委員は適切なプロセスを踏んでいけば、話し合いの場に立ってくれる存在だと思います。そこで初めて主張し議論が始まるのではないでしょうか。
まとめ
上記の提言は私がこれまで自分で勉強して、厚労省の立場、政治家の立場、大麻を必要とする方々の立場、さまざまなご意見を見聞し、現実的に可能な範囲で考えました。
みなさんそれぞれのポジションがあると思います。私も、事業をやっている限り、ポジショントークだと思われてしまうことは織り込み済みではあります。
目先のことを考えても先は長くありません。大きな視点をもって取り組んでいきたいですし、今もそこが大事だと思って日々行動しています。
CBDが広まり、クリニックなどで大麻製剤が広がれば、大麻によって救われたという人が増えます。これにより臨床データも集まり、研究が進めば適応がより拡大します。それによっていつしか「大麻は医療でも普通に使われているし、CBDや精神作用がないカンナビノイドについてはどこでも買える」といった文化が醸成されるのではないかと期待しています。
最後に、改めて今回の記事は”コラム”であることを念押しさせてください。また、残念ながら私が関わるロビイングは、一部の方から大きな批判を受けております。批判している方も同じ目標であること、その手法と歩むスピードが違うことを理解してもらえたらと思います。また同時に多くの方がご支援くださっていることも感じております。
様々な思惑の渦巻くなか、大麻取締法の改正議論がカンナビノイド社会の実現への架け橋になることを願いながら、締めくくらせて頂きます。