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2022.04.20 10:00

2023年に大麻取締法が改正される?

谷本 有香

今回の大麻取締法改正の検討において、大麻草の「部位規制」から「成分規制」に変わる可能性があります。成分規制の最大の標的はTHCの有無であることは周知の事実です。基本的に、天然の大麻草から作られた製品であれば微量のTHCは含まれています。これに伴いTHCフリー(含んでいてもこのくらいならOK)の基準を定める必要がでてきます。

THCフリーの基準値の決定には「どこからが毒性や精神作用が発生するのか」といったデータが必要になります。このデータを世界各国を参考に、厚労省に提案したいと考えています。

つぎに、カンナビノイド検査(THC下限値チェック)を国内で実施できるようにしていくことも重要だと考えています。これは、THCが規定値未満かどうかを簡易かつスピーディーに行える体制の構築だけでなく、製品のラベル表示と実際のCBD含有量が一致しないという状況が、他国でも本国でも生じているからです。成分表示を信じるしかない一般消費者が不利益を被らない為にも、検査体制を拡充し、定期的な製品チェックを事業者に義務付けていく必要があると思っています。

また、安全性に関しても考える必要があります。カンナビノイドを使った製品は、体に取り入れることが前提のものが多いです。重金属や残留農薬、残留溶媒など有害物質のチェックをする必要があります。法なのか業界ルールとすべきかはわかりませんが安全性の担保を制度化する必要があると考えています。(VAPEは特に法が曖昧なので業界ルールで安全性を担保していくことを想定しています。)

医療大麻についてはこのまま成分の製剤が合法化される可能性があります。できればTHC製剤についても適切な形で治験が行われ、適切な管理体制が敷かれ、承認されることを願っています。CBDについては食薬区分における「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)」リスト、通称非医薬品リストへの収載を望んでいます。(ビタミンCやカフェインなど)これはCBDについて誰もが気軽にアクセスできるようになる方が、世の中にとってポジティブです。食薬区分については、厚労省によって基準が明確に定められています。


これらを鑑みた場合、CBDは「専ら医薬品」には該当しないと考えます。THCは薬物に指定される可能性があるので、恐らく「専ら医薬品」になるのではないでしょうか。

とはいえ、一般CBD製品については、総量において安全性を表示によって上限を定める必要はあるように感じます。サプリメントであるように、1日〜〜粒目安や、1日〜〜g目安といった表示のルール作りは必要だと感じます。

栽培についても、国の伝統文化を守るために栽培の現行ルールを適切に運用するなどの管理は必要だと思いますが、より栽培農家が栽培しやすい環境づくりを行う必要があると思います。

また、レアカンナビノイドの研究を前進させられるよう、法律が改正されたら良いなと思っています。現状、カンナビノイドは「わからないことだらけ」です。適応疾患についてもこれからの研究によっては大きく拡大する可能性を秘めています。THCも含めて、研究が闊達に行える環境を法整備で進める必要があると考えます。

ロビイングのスタンス


私自身、大麻に関して「中立的な立場」であれるよう心掛けています。この場合の「中立的な立場」とは、大麻に対する推進派・国・国民(社会性)のそれぞれに対しての「中立的な立場」だと考えていただけると良いかと思います。

私は、事業を進める中で様々な大麻関連の人と出会い、大麻について多くのことを教えていただきました。そして、長い時間をかけ、多くの人が多大な努力をしてきた歴史があることも知りました。これらの歴史があり、CBDを国内で販売することが可能になった事実があることも忘れてはいけないのだと思います。

現時点で私個人は、法を遵守しながら、今後どのように大麻関連の法律に対し「麻を有効に活用できるよう」アプローチをかけていけるかを考えています。このアプローチの仕方が一部「推進派」の方にとっては、回りくどかったり、CBDだけを守り「利権にしてしまおう」としているように見えているようです。
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文=柴田耕佑

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