ヴェルサーチェなどの高級ブランド、ウクライナ避難民に現物提供

Photo by Omer Messinger / Getty Images

世界的なファッション・ラグジュアリー・グループのカプリ・ホールディングスは、オランダのフェンローにある同社配送センターを通じて、100万ユーロ以上の価値を持つ衣類を寄付すると発表した。

グループ傘下の高級ブランド、ヴェルサーチェ、ジミー・チュウ、マイケル・コースの製品の中でも、生活に欠かせないコートやセーター、靴が今回の寄付の対象となる。

このプロジェクトの目的は、ロシアによる軍事侵攻によって母国ウクライナを追われ、安住の地を求めて欧州全土をさまよう避難民を支援することにある。こうした難民は女性が主で、バックパック1つを背に各地を転々としているケースが多い。

カプリは物品の配布について、オランダ南東部のドイツ国境沿いにある街、フェンローに拠点を置く慈善団体「Venlo Helps Ukraine」と手を組んだ。カプリ・ホールディングスはVenlo Helps Ukraineと連携し、同団体が立ち上げた物資の集積所を活用して、衣類や医薬品、保存のきく食品などの生活必需品を、ポーランドとウクライナの国境地帯に届け、配布してもらうという。

Venlo Helps Ukraineは、ボランティアや輸送サービスを無償提供する企業の支援を得て活動しており、さらに避難民支援の寄付金も受け付けている。具体的には、ポーランドに逃れてきた避難民に住居を供給する取り組みの促進や、ウクライナ国境からポーランドに入る避難民に移動手段を提供するといった形で、後方支援を行う。

さらに物資の輸送に関しては、イタリアに本拠を置く物流企業Autotrasporti Rutilli Adolfo S.r.l.が支援を行なっている。同社は、ファッション業界のサプライチェーンに関して30年以上の実績を誇る運輸・物流企業であり、プロジェクト支援の一環として、ポーランドへのトラック輸送サービスを無償提供する。

寄付された物資は、ポーランドに到着後、同国のブルビヌフにある団体「A Shop Without Cash Registers」を通じて配布される。この団体は、困っている人たちを、現地に駆けつける以外の方法で援助できる方法を探していた、2人のポーランド人女性によって設立された。

衣服には、身体的なニーズと精神的なニーズの両方を満たす効果がある。衣服には、社会的な評価を含めて、さまざまなメリットがあるのだ。

ポーランドのA Shop Without Cash Registersは、法的支援に特化した第2の拠点も開設しており、保険への加入や、短期の仕事を紹介する人材派遣サービスへの登録、保育サービスの申請などに関して支援を提供している。
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翻訳=長谷睦/ガリレオ

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