ロシア軍による突撃では、ウクライナ側の防御線に近づくのにオートバイ部隊にますます頼るようになっている。英紙デイリー・テレグラフによると、いまではロシア軍の攻撃の最大25%がオートバイやバギーを使ったものだという。バイク突撃の規模も拡大していて、一度に100人以上のバイク兵が投入された事例もある。こうしたなか、ロシア側のソーシャルメディアでは、ウクライナ軍のドローン(無人機)に追い回される2025年の「デス・レース」を生き延びるためのアドバイスが提供されている。
ときには、ロシア軍の十分な数のオートバイ兵がウクライナ側の防御線付近までたどり着き、その陣地を強襲し、新たに数mかそこらの幅の土地を獲得することもある。しかしオートバイ突撃は概して失敗することが多く、いずれにせよ参加者の大半が死亡する。だからこそ、生存率を高めるためのヒントが必要とされているのだ。
裏にある冷酷な論理
オートバイ突撃には、ある種の残酷な論理が潜んでいる。第二次世界大戦以来、突撃の主な手段だった装甲車両は、ウクライナの戦場ではもはや生き延びることができない。偵察ドローンに発見され、最前線から何kmも手前でFPV(一人称視点)ドローンに破壊されてしまうからだ。それに比べると徒歩の兵士はもっと散らばり、発見されにくいが、いかんせん動きが遅すぎる。オートバイは、十分速ければ最前線まで到達できるものの、決まって大きな人的損害を出すことになる。だが、ロシア軍の指揮官たちがそれを気にかけている様子はない。
「バイクはスピードが命だ。装甲ではない。ミスは死を意味する」──。OSINT(オープンソース・インテリジェンス)アナリストのRoyが紹介している投稿で、ロシアのテレグラムチャンネル「ランボー塾(シュコーラ・レンボ)」はそうアドバイスしている。「突っ走れ、さもなくば死だ」
“A motorcycle is a chance, not armor…race or die.”
— Roy🇨🇦 (@GrandpaRoy2) June 6, 2025
A Russian describes tactics for escaping an FPV.
“‘Race or die.’
🛩 An FPV drone is a flying kamikaze.
Your motorcycle is speed, but not armor.
A mistake is death.
1/ https://t.co/jQDOdhrdp1 pic.twitter.com/yxmQVvdXBF
投稿では、最大の脅威は時速150~200kmで飛行し、「5〜10分」滞空するFPV攻撃ドローンだと説明している。
こうしたドローンの主な弱点は無線通信と視界の狭さで、ランボー塾はこの点を理解することが生き残るカギだと助言する。
舗装路や一直線の道、開けた平原は危険で、未舗装路や森林、谷沿いのほうが安全だと書いている。