文化を構築する
シリコンバレーの企業の多くは、自社が何を支持しているかや世界における自社の目的を非常にうまく伝えてきた。こうした企業は、楽しみや起業家精神を評価する文化であることを明確にし、こうした考え方の人を集める傾向にある。テック企業やスタートアップに人が集まることには、金銭面以外にも理由があるのだ。
こうした価値には行動基準が伴わなければならない。何が求められているか、許容されているか、何が許されていないかがはっきりしている必要がある。
管理職は、社員がこうした期待値を満たすときや満たさなかったときに何が起きるかを先に伝える必要がある。こうした行動基準は、すぐに企業の本質となる。こうした基準について話したり模範を示したりするのは管理職だけではなくなり、こうした価値は会社の上から下まで網羅する骨組みの一部となるだろう。これは金融大手でもサッカーチームでも、全てのチームや組織に当てはまるものだ。
業界にかかわらず、成功する企業は起業家的な考え方や競争性など、従業員の間で何を評価するかを示している。こうした価値は明確・簡潔でなければならず、長々としたリストではいけない。企業は中核となる価値を3~5つと、従業員が誇りを持てるような簡単に説明できる理念を持つべきだ。
理念に誇りを持ち、会社の価値を支えるため働くことが最終的には文化を作る。会社の理念を理解し信じていて、同僚が会社の行動基準を支持するべく働く姿を見ている従業員は、仕事に熱心に取り組む可能性が高く、会社を辞める可能性が低い。
この素晴らしい例がディズニーだ。同社は、自社をテーマパーク運営企業や映画製作会社として位置付けていない。ディズニーは、「あなたの夢を叶えたい」という従業員が大事にできるコンセプトを一貫して打ち出している。また、米ネット証券TDアメリトレードの目標は、米国の全家庭に金融リテラシーをもたらすことだ。
企業はどのように金を稼ぐかだけでなく、どのように社会に貢献するかを説明できるようになるべきだ。それがうまくできれば、より楽に優秀な人材を引きつけ保持できるだろう。
長い闘い
素晴らしい人材を引きつけ保持することは絶え間ない試練だ。組織は、全ての関係者がその会社で働いていることを誇りに思い、企業文化に参加するような環境を作らなければならない。
管理職は、社員の上位10%を失う可能性を常に意識しなければならない。管理職は中核となる人材を保持するため努力し、トップ人材が残りたいと考える組織を作ることを常に模索しなければならない。成功や人が評価される素晴らしい文化を持つ組織が、どのように世界が変わっても人材競争で優位に立つ組織だ。